ユーロ5+対応のモデルチェンジが行なわれないことが発表されている「YZF-R1」シリーズは、国内向け公道モデルとしては2025年モデルが最終型となるはずだ。そのため、発売前にも関わらず既に入手困難とも言われている。大阪モーターサイクルショーにおいて、発売直前の上級グレード「YZF-R1M ABS」を中心に各部をチェックしていく。
最新の電子制御で200PSを手なづける
2025年型「YZF-R1」シリーズの最大の特徴と言えるのは、ヤマハファクトリーレーシングモトGPチームからの技術的フィードバックに基づいて設計・開発されたというフロントのウイングレットだ。このウイングレットはカーボン製で、「YZF-R1M ABS」はフロントカウルとシートカウルがカーボンで製作されている。ヘッドライトは”R”デザインのアイコンとなる LED デュアルヘッドランプを採用し、フロントウインカーをミラーにビルトインするなどしてスポーティなデザインに仕立てられる。
エンジンは「YZF-R1M ABS」、「YZF-R1 ABS」で基本的には同じスペックとなる。定評のあるクロスプレーンクランクシャフトの4気筒で、最高出力200PS(147kW)/13,500rpm、最大トルク11.5kg-m(113Nm)/11,500rpmを発生する。ピストンには裏面にボックス形状の“ボックスブリッジ”を設けることで剛性を維持しつつ軽量化を果たした鍛造タイプを採用し、破断分割式チタンコンロッドと組み合わせることでロス馬力を低減している。
チタン材を採用することで軽量化されたエキゾーストシステムは、4→2→1集合のミッドシップとすることで排気効率の確保とマス集中化を両立。スロットルバルブの駆動にはスロットルケーブルやプーリーを廃したYCC-T(ヤマハ電子制御スロットル=Yamaha Chip Controlled Throttle)を装備することで自然かつダイレクトな操作感を実現している。
このエンジンを支えているのが、レースからのフィードバックを受けた最新の電子制御だ。走行シーンや路面状況などに合わせてエンジンレスポンスや出力特性を制御するYRC(YAMAHA Ride Control)が装備され、出荷時には1~4の各PWRに適したその他の各制御モードが推奨設定されているが、好みや走行環境に応じて各制御モードを自由に組み合わせることができる。また、あらゆる走行シーンにおいてLCS(ローンチコントロールシステム)、TCS(トラクションコントロールシステム)、SCS(スライドコントロールシステム)、LIF(リフトコントロールシステム)、QSS(クイックシフトシステム)、BC(ブレーキコントロール)、EBM(エンジンブレーキマネージメント)の各制御を連動させることで、意のままのライディングを可能としている。
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