ホンダHRC、横綱相撲で8耐4連覇! ヤマハワークス及ばず2位、ヨシムラが3位表彰台へ

ホンダHRC、横綱相撲で8耐4連覇! ヤマハワークス及ばず2位、ヨシムラが3位表彰台へ

ホンダ、ヤマハ、スズキのワークスチームが
参戦し、さらに過去最多となる15もの世界耐久選手権のレギュラーチームが来日、全日本ロードレースチームが迎え撃つことで話題が豊富だった2025年の8耐
が終わりました。アクシデントが少なく、昨年に続いてセーフティカー介入もないレース……と思われましたが、ラスト2時間で風雲急を告げる展開の、なんとも2面性のあるハチタイとなりました。

 写真:中村浩史/HRC/ヤマハ

 
 
文/中村浩史


ドゥカティ、HRC…トップチームに続々とアクシデントが

まずはレース前。すでにお知らせしたように、昨年惜しくも表彰台を逃したものの、ドゥカティ・パニガーレV4Rを総合4位に押し上げたドゥカティチームカガヤマに、5月のスポーツランド菅生でのテストでマシンを全損させるアクシデントが発生。エースライダーである水野涼が負傷し、全日本ロードレースの菅生大会を欠場。全損したマシンも、ハチタイへ向けてゼロから準備しなければならない状況になってしまいました。

アクシデントは4連覇を狙うホンダワークスチーム・ホンダHRCにも降りかかります。当初メンバーに予定していたMotoGPライダーのルカ・マリーニが、鈴鹿でのハチタイ事前テストで負傷。その代役に起用したイケル・レクオーナも、ハチタイ1週間前のスーパーバイク世界選手権で転倒し負傷。急きょレクオーナと同じスーパーバイク世界選手権ライダーのチャビ・ビエルヘを呼び寄せ、この3人でハチタイを戦うと発表されました。

しかし、そのビエルヘが「参戦手続き上の問題(HRC)」で出場できなくなってしまい、なんとホンダHRCは高橋巧とヨハン・ザルコの2人で決勝レースを走る、と最終決定されたのです。
もちろん、レギュレーション上は2人でも問題ありませんが、3人体制までOKの今、そしてこの猛暑では体力消耗という面でも3人体制の方がベター。2人体制の優勝は2019年のカワサキレーシングチーム(ジョナサン・レイ/レオン・ハスラム組)が最後となっています。



全日本のテストで転倒、負傷した水野涼。マシンも全焼してしまうなど、ドゥカティチームカガヤマの8耐は波乱のスタートとなった。



普段はスーパーバイク世界選手権をRR-Rで戦っているビエルヘ。僚友レクオーナの負傷で急遽召喚されたが…。

猛暑日の続く天候のまま、心配された台風9号の接近もなく、快晴の続いたレースウィーク。しかし、気温は連日40℃に迫り、路面温度は60℃を超えることもある、猛暑のハチタイとなりました。

ウィークのスケジュールは、7/30(水)にフリー走行が行なわれ、7/31(木)が車検デーで走行はなし、8/1(金)に公式予選がスタートします。8/2(土)に行なわれた、公式予選の上位10チームが出場するトップ10トライアルを経てポールポジションを獲得したのは、2人でハチタイを走ることを決めたホンダHRCでした。以下はトップ10トライアルによる予選上位10グリッドです。


トップ10トライアル順位

  No. チーム名 車両 ライダー
#30 ホンダHRC CBR1000RR-R SP 高橋巧/ヨハン・ザルコ
#21 ヤマハレーシングチーム YZF-R1  中須賀克行/ジャック・ミラー/アンドレア・ロカテッリ
#76 オートレース宇部レーシングチーム M1000RR 浦本修充/ロリス・バズ/トッド・デイビー
#73 SDGチームハルクプロホンダ CBR1000RR-R 名越哲平/阿部恵斗/國井勇輝
#37 BMWモトラッド M1000RR マーカス・ライタバーガー/マイケル・ファン・デル・マーク/
スティーブン・オデンダール
#7 YARTヤマハ YZF-R1 カレル・ハニカ/マービン・フリッツ/ジェイソン・オハロラン
#1 ヨシムラSERT MOTUL GSX-R1000R グレッグ・ブラック/ダン・リンフット/渥美心
#3 SDG-DUCATIチームカガヤマ PANIGALE V4R 水野涼/マーセル・シュロッター/レオン・ハスラム
#40 チームATJ withドコモビジネス CBR1000RR-R SP 岩田悟/鈴木光来/國峰啄磨
10 #17 Astemo ProホンダSIレーシング CBR1000RR-R 野左根航汰/荒川晃大/山中琉聖


トップ10トライアルを2分4秒104のタイムで制したのはHRCのヨハン・ザルコ。スピードがあっても派手ではなく、目標をひとつずつ完遂する職人肌のライダーだ。



ジャック・ミラーは途中まで3秒台も見えるペースを刻むものの、シケインで無念の転倒。ヤマハワークスはアンドレア・ロカテッリのタイム・2分4秒290が適用され2位に。

 
 
 


スタートでは#73 ハルクプロの國井が飛び出す

迎えた8/3(日)の決勝レース。ハチタイでおなじみの午前11時半のスタートで、まず飛び出したのは#30 HRCの高橋! 4番手スタートの#73 ハルクプロ國井が続き、國井はそのまま1周目のうちに高橋をかわしてトップに浮上。記念すべき2025年ハチタイのオープニングラップは國井が獲りました。

國井、高橋に続くのは世界耐久チーム・ヨシムラの#1 ブラック、#17 Astemo野左根、#40 ATJ岩田、#0 チームスズキ津田といったオーダー。予選3番手ながらスタートで出遅れた#76 オートレース宇部の浦本、2番手スタートの#21 ヤマハ中須賀も後方から追い上げを見せます。

8周目には浦本が3番手に浮上し、國井→高橋→浦本がトップ3を占め、4番手以降をやや引き離す展開。ここから14周目には満を持して高橋がトップに浮上。高橋はここから、徐々に2番手以降を引き離し始め、26
周を終えてのピットイン時には2番手の#21 ヤマハに約13秒の差を付けています。



第46回鈴鹿8時間耐久レースがスタート。決勝日には3万2000人のファンが鈴鹿サーキットに詰めかけた。



レース序盤をリードしたのは#73 SDGチームハルクプロホンダの國井勇輝。ハルクプロ在籍時のセンパイ、高橋をリードした。



10周目あたりのTOP4は國井→高橋→浦本→ブラックの順。



2人での8時間耐久に体力面での心配もささやかれた高橋だが、ホンダ4連覇の軸としてチームをけん引。コンビを組むザルコはとにかくスムーズにバイクを走らせ、なおかつ速い。



ヤマハレーシングのアンドレア・ロカテッリはSBKのレギュラーライダー。MotoGPライダーのジャック・ミラー、国内王者の中須賀克行とともにファクトリーR1を駆った。

ハチタイで勝負を分けるポイントのひとつである燃費に関しては、#30 HRCが27周、#1 ヨシムラと#21 ヤマハが26周、#73 ハルクプロが23周で1回目のピットストップを済ませます。トップチームの中では#11 のカワサキWebikeトリックスター(KWT)が28周まで引っ張ってピットイン。瞬間的に2番手まで浮上します。

開始1時間を終了しての順位は、①#30 HRC ②#11 KWT ③#21 ヤマハ ④#73 ハルクプロ ⑤#88 ホンダチームアジア ⑥#1 ヨシムラ ⑦#76 オートレース宇部 ⑧#7 YARTヤマハ ⑨#40 ATJ ⑩#37 BMWモトラッドというオーダー。ピットインのタイミングで順位が瞬間的に前後するので参考までに。

その後のレース展開は、#30 HRCが独走態勢を築きつつも、2番手の#21 ヤマハがなかなか離れない。3番手の座を#73 ハルクプロ、#1 ヨシムラ、#7 YARTヤマハ、#76 オートレース宇部が争うようになっていきます。トップを走る#30 HRCと#21 ヤマハとの差は、レース開始約2時間経過時に約59秒、3時間経過時に約1分14秒、そしてレースが折り返しを迎える4時間経過時に1分44秒といったところ。



8時間を7回ピットで走り切ったHRC。作業もミスなく速く、セーフティカー介入時のデータと戦略の変更もミスなくこなした。

ここまででレースは半分を消化し、大きなアクシデントとしては、レース後約1時間あたりで、#5 TSRホンダフランスがマシントラブルでピットインし、#1 ヨシムラのダン・リンフットが転倒。リンフットは転倒後すぐに再スタートし、ピットインせずにそのまま周回を続行。さらに約2時間を経過したところで#7 YARTヤマハのジェイソン・オハロランも転倒し、マシン修復に大きくタイムロス、#17 Astemoプロホンダもマシントラブルでマシンをピットに入れてしまいます。 

約3時間を経過したころには、スタートで出遅れ、オープニングラップで20番手あたりまで後退したものの、レース3時間経過ごろには4位までポジションをアップしていた#3ドゥカティチームカガヤマも他車と接触転倒してしまいます。

レースが折り返し地点を迎えた4時間目の順位は①#30 HRC ②#21 ヤマハ ③#73 ハルクプロ ④#1 ヨシムラ ⑤#40 ATJ ⑥#76 オートレース宇部 ⑦#88 ホンダチームアジア ⑧#11 KWT ⑨#99 マークVDS ⑩#6 ERCエンデュランスといったオーダー。
上位入賞が予想されていたチームの中では、#5 TSRホンダフランス、#7 YARTヤマハ、#3 チームカガヤマが後退。さらに3時間45分ごろには、プロジェクト発足2年目を迎える#0 チームスズキも転倒し、大きく順位を下げてしまいます。



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