アプリリア新型「RS457」試乗! まさに「乗りやすさ=楽しさ」を体現するスポーツバイクだ【元バイク販売店営業インプレ】

アプリリア新型「RS457」試乗! まさに「乗りやすさ=楽しさ」を体現するスポーツバイクだ【元バイク販売店営業インプレ】

 MotoGPなどでの活躍で知られるイタリアのオートバイメーカー「アプリリア」。今回は同社から新たに登場した新型「RS457」に試乗することができたので、その感想をお伝えしていきたい。

 
文/瀧村和也
 

レーシーなデザインのA2ライセンス中型スポーツ「RS457」



今年2月に日本上陸を果たした「RS457」。新設計の457ccパラツインエンジンを搭載した完全新作である

 名前の通り、排気量457ccという日本人からすれば“半端”ともとれる「RS457」。これはヨーロッパの免許区分である「A2ライセンス」に起因しており、排気量での区分けではなく、最高出力が35kW(約47.6馬力)以下であれば乗れるという免許制度によって決まった排気量だ。



全長1982.5mm、ホイールベースは1350mmと中型としては最小クラスにコンパクトだ



洗練されたアルミツインスパーフレームが美しい。ハンドルはセパレートタイプでかなり下側に設置されている

 エンジンは457cc水冷4ストローク直列2気筒DOHC4バルブで、最高出力は47.6PS(35kW)を発揮。「A2ライセンス」で乗れるギリギリを攻めた結果というわけ。日本でいう中型免許と同じ扱いである。アプリリアには「A2ライセンス」の上にあたる「Aライセンス」で乗ることのできる「RS660」がラインナップしており、「A2ライセンス」で乗ることができる車両として「RS457」が新たに加えられたということだ。



エンジンは軽量コンパクトを主眼に設計。ボア×ストロークは69×61.1mmのショートストローク設定だ。エンジン後部にはスイングアームピボットを備え、車体全体の軽量化に貢献している。

 スポーツバイクらしい精悍なフロントフェイスにはちょっとしたウイングが採用されており、中央と左右に分かれた3眼のLEDヘッドライトが個性的。スイングアームから流れるように伸びるアルミツインスパーフレームがよりレーシーなイメージを際立たせ、エンジンの下にまとめられたサイレンサーがスポーティな印象を与えている。



インパクト抜群のフロントフェイス。LEDヘッドライトはウィンカー内臓で、ダクトウイングに大きく描かれた「アプリリア」の文字も強烈だ



サイレンサーは車体下部に収まるコンパクトな作り。レーシーな印象を底上げしている

 また全長1982.5mm、ホイールベースは1350mmと非常にコンパクトで、見た目からの威圧感は全くない。実際に乾燥重量は159kgと非常に軽量で、シート高も800mmとスポーツタイプにしてはフレンドリーな部類。総合してシャープでスポーティなデザインにまとまっていた。



フロントにはプリロード調整機能付きφ41 mm倒立フォークとφ320 mmシングルディスク+ByBre製ラジアルマウント4ポットキャリパーを組み合わせる。



リヤはプリロード調整機能付きモノショックを採用。φ220 mmディスク&ByBre製キャリパーをセットした。



左側ハンドルスイッチは夜間でも視認性がよくなるようバックライト付き



右側のスイッチボックスにもバックライトを採用。非常にシンプルかつ洗練されている

 ディスプレイはフルカラーTFTを搭載し、ABSやトラクションコントロール、3種類のライディングモード(エコ/レイン/スポーツ)を搭載。トラクションコントロールの介入も3段階から選択可能で、もちろん電子制御スロットルである。そんな「RS457」を実際に試乗してみたので、その感想をお伝えしていきたい。



TFTメーターは小ぶりで必要な情報のみ表示する

 
 
 

まるで身体にフィットするかのような一体感! 「乗りやすさ=楽しさ」を体現するスポーツバイク



正直なところ、ここまで乗りやすく、楽しい乗り味とは思っていなかった! しかも疲れないのでいつまでも乗っていたくなる

 まずまたがってみると、非常に自然なライディングポジションであることに驚く。セパレートハンドルながらハンドル位置がかなり手前なため、想像以上に気楽なポジションだ。171cmで片足かかとが少し浮く程度だが、車両自体が軽量なため恐怖心も一切感じない。ステップ位置も近すぎず遠すぎない良い塩梅である。また小さい点ではあるが、スリット状に肉抜きされたトップブリッジのデザインがレーシーでテンションが上がった。



セパレートハンドルはトップブリッジ上部に設置されているがそこまで高くはない。トップブリッジの肉抜きされたデザインが個人的には非常に好印象だ



身長171cm、体重65kgのライダーがまたがった状態。両足でかかとが少し浮く程度で恐怖心は全くない



片足でもかかとが少し浮く程度。ステップ位置が低く、ハンドル位置の低さに比べてかなりリラックスしたポジションとなる

 トラクション効果の高い270°位相クランクを採用する「RS457」は、最大出力発生回転数が9400rpm、最大トルクである43.5N・mは6700rpm時に発揮される特性。この数字を見るとわかるが、低回転からの強いトルク特性を備えていることがわかる。実際に発進してみると車格に似合わないほど強いトルクで進み、スロットルの操作もほとんど必要ないくらいだ。パワーウェイトレシオが優れていることを実感する。

 そして回転数を上げていくが、街乗りの常用域であればせいぜい3000~4000rpmでも十分。割と“トルクで走る”という特性が強く、そこまでエンジンを回したいという気持ちにはならない。セパレートハンドルなのにトルクで走っている感覚が独特で面白い。もちろん回せば回すだけ俊敏に走り始めるので、サーキット走行でもかなり楽しめるだろう。



発進からコーナー、停止に至るまですべての走りがとにかく楽しい。乗りやすいことは、イコールで楽しさにも繋がるということを教えてもらった

 数分乗っただけでも実感するのだが、「RS457」の一番の魅力はその“フィット感”である。人馬一体という言葉があるが、まさにそれを体現するかの如くとにかく乗りやすいのだ。この乗りやすさとは車体のコントロールがし易いという意味で、発進から直進、低速から高速走行、コーナリングや停止にいたるまで全てが思い通りに動いてくれる。そして、その乗りやすさが操る楽しさを生み、究極を言えば“乗っているだけで楽しい”という気持ちにさせてくれた。

 排気量が小さすぎても大きすぎてもこの感覚は得られないもので、「RS457」が持つ独自の魅力なのだろうと感じる。

 
 

RS457を勧めるとしたらどんな人?



軽いうえにトルクフルなスポーツバイク「RS457」。走りを程よく楽しみたいライダーにうってつけの一台である

 457ccの中型セグメントに籍を置きつつ、実際は大型免許が必要となってしまう「RS457」。しかしこのバイクには、日本からすると半端な排気量というマイナス面を凌駕するほどの魅力が詰まっている。

 まず本格的なセパレートハンドルながら自然なポジションが得られ、長時間乗っていても疲れないという点。さらに街乗りから本格的なスポーツ走行も可能とする幅広い走行レンジで、ほとんどのシーンで楽しめるという点が魅力である。

なので「RS457」を勧めるならば、“大型バイクには疲れてしまったが多少のスポーツ走行も楽しみたい” というライダーだろう。とにかく疲れたくないが、操る楽しさも捨てたくないというライダーには確実に刺さる一台といえる。

 大型からいったん離れ、“乗りやすく楽しいバイク”が欲しかったというライダーに是非お勧めしたい。

RS457(2025)主要諸元

・全長×全幅/1982.5×760
・ホイールベース:1350mm
・シート高:800mm
・重量:159kg(乾燥重量)/175kg(燃料90%搭載時)
・エンジン:457cc 水冷4ストローク直列2気筒DOHC 4バルブ
・最高出力:47.6PS(35kW)/9400rpm
・最大トルク:43.5N・m(4.4kgf・m)/6700rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:13L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=110/70 ZR17 R=150/60 ZR17
・価格:¥858,000(税込)

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/479363/

アプリリア新型「RS457」試乗! まさに「乗りやすさ=楽しさ」を体現するスポーツバイクだ【元バイク販売店営業インプレ】【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/479363/479497/

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