【日本のバイク保有台数】原付は減るも…趣味のバイクは激増中! バイクブーム期より多いってマジか?!

【日本のバイク保有台数】原付は減るも…趣味のバイクは激増中! バイクブーム期より多いってマジか?!

 国内における2024年の二輪国内保有台数が約1028万台と減少していることが判明。1986年をピークに、基本的に右肩下がりだが、その原因となっているのが原付一種(50cc以下)の減少だ。しかし他のクラスは伸びており、過去最高を記録した排気量帯も。また、普通二輪免許の保有者が増えていることもわかり、FUN系のバイクは活況と言えそうだ!

 
文/沼尾宏明
 

1986年から減少傾向、原付一種が大きく落ち込み続けている

 国内の二輪四輪メーカーで構成される日本自動車工業会が「日本の自動車工業2025」という資料を公表した。これは毎年定期的に刊行されているもので、生産、販売、輸出データをはじめ、安全、環境など国内の自動車産業を取り巻く最新の情報をまとめたファクト集だ。

 これによると、国内の二輪保有台数(登録済みの公道走行可能な車両)が全体でマイナスになっていることがわかった。

 2024年3月末の二輪車保有台数は、前年から0.3%減(2万5972台減)の1027万6000台。ピークだった1986年の1867万台以降、減少傾向となっており、コロナ需要の2022年(1031万台)を除いてマイナスに歯止めがかかっていない。

 このように保有台数がマイナスになっている原因は、原付一種(50cc以下)の減少だ。1986年の1496万台から毎年数10万台のペースで減り続け、ついに2010年には745万台に半減。2024年には前年比3.6%減(15万4552台減)の417万7000台となった。

 以前から50ccクラスはダントツのシェア1位で、2024年現在でも40.6%を占める。それだけに全体の保有台数に与える影響は大きく、年々マイナスになるのも当然と言えるのだ。



「日本の自動車工業2025」による二輪車保有台数の推移。



こちらは経済産業省の資料より抜粋。上記の表をグラフ化したもので、年々原付一種の保有台数が大きく落ち込んでいる。

 
 
 

51cc以上の排気量トータルでは過去最高を記録!

 一方で、51cc以上の全排気量帯では保有台数が年々増加傾向にあり、2019年を境に50cc以下とそれ以上の保有台数が逆転。2024年には51cc以上が過去最多を更新した。中でも軽二輪(126~250cc)と小型二輪(251cc以上)は2024年に過去最高を記録したのだ。

 126~250ccは前年から1.4%増(2万8348台増)の 211万6890台、251cc以上は同2.4%増(4万6266台増)の191万8542台。5年前と比べ、126~250ccは約15万台、251cc以上に至っては約20万台も増えている。

 これはバイクブームだった1987年と比べても多い数字だ。126~250ccは1987年当時約130万台だったので1.6倍増。251cc以上は当時約91万台なので2倍以上も伸びている。

 もちろん原付二種(51~125cc)も増加しており、前年比2.7%増(5万4466台増)の206万4087台を記録。5年前と比べ、約27万台のプラスとなった。過去最高だった1980年の228万1000台には及ばないものの、こちらも2024年は過去最高に迫っているのだ。

 つまり、51cc以上は増加しているものの、シェアが多い50ccの減少をカバーしきれず、全体としての保有台数は減っていると言える。



2019年を境に50cc以下とそれ以上の保有台数が逆転。51cc以上で見ると、2024年に過去最多を更新した。



原付二種クラスではホンダが多彩なモデルをリリース。近頃はヤマハもXSR125RやYZF-R125を販売するなど注力している。

 
 

普通二輪の免許保有者が増加中、大型二輪は減っているが……?

 資料によると、普通二輪免許の保有者も近年増加している。2024年3月末時点で、前年から13万2523人増の1098万5148人。2018年から毎年13万~15万人のペースで増加中だ。

 一方で大型二輪免許は26万3959人減の737万8625人という大幅なマイナスに。近年では2018年の約912万人から年々30万人近く減少しており、2022年には800万人を割ってしまった。

 ただし、別の資料(新規運転免許取得者数)を見ると、例年7万~9万人台が大型二輪免許を取得。2023年現在では8年間で最も多い、10万人に迫る9万9626人が新たに大型二輪免許を取得している。大型二輪免許保有者の大幅マイナスは、恐らく1974年以前に排気量制限のない二輪免許を取得した方が鬼籍に入られるなどの事情で失効したケースが多いのでは、と考えられる。



二輪免許保有者の推移。普通四輪など2種類以上の免許を保有している場合も計上されている。大型二輪が減少し、普通二輪は増加。やはり原付免許も減少している。



経済産業省による免許取得者数の推移。普通二輪、大型二輪免許ともコロナ禍をピークに取得者が減少したが、おおむね増加傾向にある。

[まとめ] 庶民の足ではなく、趣味の乗り物としての役割が大きくなっている

 このように51cc以上のバイクは保有台数が増えており、126cc以上の排気量帯は特に活況。普通&大型二輪免許取得者も増えている。126cc以上と言えば、PCX160などのコミューターも人気だが、やはりFUN系のバイクが主流。50ccという“庶民の足”であるバイクが激減したのに対し、趣味性の高いバイクは人気が拡大し続け、1980年代のバイクブームより盛んと言えるかもしれない。

 50ccの保有台数が減った原因は、電動アシスト自転車など他の移動手段が増えたほか、度重なる排ガス規制による値上げ、駐車スペースの不足、最高速30km/h規制など独自ルールの存在が考えられる。これらの問題を見過ごすことはできないものの、バイクは趣味として楽しむ役割が年々大きくなっている。

 しかしながら、50ccの原付一種にも新たな動きがある。既に周知のとおり、2025年11月から新しい排ガス規制が50cc以下にも適用され、現在の50ccはこれに対応せず生産終了する見込みだ。

 そこで、51~125ccで最高出力を4.0kW以下に制御した「新基準原付」を設定。従来の「排気量50cc」という枠組みではなく、最高出力で区分する枠組みだ。この新原付は、今までの原付免許で乗車でき、30km/h上限や二段階右折といった50ccならではのルールは継続される。

 減少したとはいえ、原付一種の保有台数は400万台と今だ排気量帯では最多。新車は年間11万台が販売されている。こうした“庶民の足”としての役割は新原付が担うことになる。新原付の導入後、保有台数や販売台数がどう変化していくのか、動向を見守りたい。



“50cc生産終了”の報を受けて駆け込み需要が発生し、新車が買いにくい状況。2025年の販売台数は伸びる見込みだ。原付一種がなくなっても、新原付が「庶民の足」の代替手段になる。



ホンダがモーターサイクルショーで新基準原付のスーパーカブ110ライトコンセプトを発表したが、現時点で新基準原付はどのメーカーからも発売されていない。

[おまけ] 世界各国の二輪保有台数トップはインドネシア、普及率では台湾が逆転

 ちなみに「日本の自動車工業2025」では、世界の状況もレポートされているので、参考までにお伝えしておこう。

 世界各国で保有台数が最も多いのはインドネシアで、驚異の1億3243万台。次点は中国の8072万台だ。意外にも高いのが日本で、資料の中ではアメリカを上回る3番手に着けている。

 1台あたり人口で計算した「二輪車普及率」では、台湾がトップ。1.6人に1台が所有しており、保有台数トップのインドネシアを上回る。日本は12人に1人という結果で、何となく実感と合っている気も……!?



インドネシアは唯一の1億台。インドも気になるところだが、データがないのかも?



普及率では台湾がトップ。意外にも中国が低い結果に。

 二輪車の生産台数で最も多いのは、2388万台を数えるインド。2022年から年間200万台ものペースで伸長している。次点は中国の1742万台。ケタが一桁違うが、3位のブラジルも年々伸びている。

 販売台数では、2023年にインドが中国を逆転し、以降はトップに。年間2000万台に迫っている。その他で目立っているのは、やはりインドネシア、ベトナムといったところだ。



生産台数トップはインド。2022年以降、2位の中国との差を広げている。



インド、中国が二大市場。欧州ではイタリアが最も多い37万3313台。意外にも日本の31万9700台と大きく変わらない。

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/bikenews/487284/

【日本のバイク保有台数】原付は減るも…趣味のバイクは激増中! バイクブーム期より多いってマジか?!【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/487284/487313/

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