2025年4月に施行された「新基準原付」制度。これに適合する新モデルがいよいよ登場した。先鞭をつけたのはホンダで、今年11月より「ディオ110 ライト」12月より「スーパーカブ110 ライト」をそれぞれ発売する。スーパーカブはバリエーションモデル「スーパーカブ110プロ ライト」「クロスカブ110 ライト」も同時ラインナップとなり、全4種の「ライトシリーズ」として、原付一種区分を支えることとなった。
これに伴ってホンダはメディア向けに「新基準原付」発表会を開催し、110ccモデルとの違いや特徴、原付一種カテゴリーを支える意義などが示された。
日本の生活をホンダが支える! 原付一種モデル存続のための「新基準原付」
2025年11月の令和2年排ガス規制(EURO5相当)の適用により、「原付一種」区分だった50ccモデルの長い歴史にピリオドが打たれた。50ccモデルはエンジンサイズ、機構的にも規制対応には高いコストがかかるうえ、需要はほぼ日本国内のみという理由で、生産継続が困難となったためだ。しかし全国の原付一種モデルは418万台(2024年3月時点)が保有されており、また自動車の運転免許でも気軽に運転ができることから、通勤や通学、買い物や業務用といった多岐のシーンで活躍が続いている。まだまだ日本全国では多くのユーザーが原付一種を必要としているのだ。
そこで新たに、原付二種クラスのモデルに出力制限を加えて、原付免許で運転できるようにする新制度が今年4月に施行開始。50ccモデルに代わる新たな選択肢が許可された。これに対応した「新基準原付」の初めてのモデルが、今回ホンダが発表した「ディオ110 ライト」「スーパーカブ110 ライト」「スーパーカブ110プロ ライト」「クロスカブ110 ライト」の4モデルだ。これらについてホンダモーターサイクルジャパン代表取締役・室岡克博氏をはじめとした、開発・販売チームの4名が登壇するメディア向け新基準原付の発表会も執り行われ、多くの報道関係者が集まった。

発表会の壇上には、左からホンダMC代表取締役・室岡克博氏、スーパーカブ110Lite開発責任者・八木崇氏、Dio110Lite開発責任者・石田慎一郎氏、営業領域責任者・木村康太氏。それぞれの領域から解説した。
室岡氏は発表会冒頭にて「これまでと同様、原付免許を保有する多くのお客様や、これからも原付一種を乗り続けるお客様を守ることで、日本の生活をささえてまいります」と、日常に密着した原付一種というカテゴリーの存続に尽力する旨を表明。ラインナップ中の同クラスEV「EM1e:」や「eビジネスバイクシリーズ」とともに全9ラインナップを取りそろえ、今後の原付ユーザーを支えてゆくとした。
原付二種と新基準原付、実際何が違うのか?
この「ライトシリーズ」4モデルはいずれも、現在原付二種クラスでラインナップされているモデルをもとに、原付一種基準となる4.0kW(5.4PS)以下となるよう、吸気系、インジェクターなどによりエンジン出力を制御したもの。しかしエンジンのほか、車体や装備品はほぼ完全にベースモデルのままだ。このため外見での区別はかなり難しく、白色のナンバープレートのほか、車体の「Lite(ライト)」ステッカー、60km制限/速度警告灯を備えたメーター、タンデムステップの有無、といった要素でのみ原付二種と差別化されている。
しかし走行フィーリングは従来の50ccモデルとは大きく異なるという。その理由は排気量を維持したままのエンジンにある。スーパーカブ110ライトの場合、最高出力は3.5kW(4.8PS)/6000rpmで、従来のスーパーカブ50の2.7kW(3.7PS)から1.1PSアップ。スーパーカブ110の5.9kW(8.0PS)よりは下がっているが、50ccよりも出力は向上している。さらにトルクは6.9Nm(0.8kgf・m)/3750rpmで、50ccの3.8Nm(0.39kgf・m)/5500rpmから2倍になった。最高速度にはリミッターが装着されるが、加速や傾斜でのパワーは50ccよりも大幅にアップしているというわけだ。
また、これまでに50ccのラインナップになかった原付二種の装備を原付一種として利用できるのもうれしい。ディオ110ライトでは、原付一種よりも大きく余裕のあるボディや17Lの広いメットインスペース、アルミキャリアなどが110譲りとなる。さらに足つき性アップのために、専用設計のローシートも採用されており、シート高は110から15mmダウンとなる745mmに設定された。スーパーカブ110ライトシリーズでは、従来のスポークホイール/チューブタイヤ/ドラムブレーキという足回りが、110同様のキャストホイール/チューブレスタイヤ/ABS付きディスクブレーキとなり、快適性やメンテナンス性が向上。さらにメーターにはLCD液晶が追加され、シフトインジケーター、時計といったこれまでになかった装備を利用できるようになった。
















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