新型「Z900RS」は、最新排ガス規制に適合しつつ、エンジンパワーや電子制御を充実させ、性能向上を全面的に果たした。さらに「SE」の追加装備や、新たな「ブラックボールエディション」など話題は尽きない。今回は従来からの変更点をおさらいしつつ、新旧の足つきチェックも行ってみた。
文/西田宗一郎
シート高10mmアップの影響はシビア? 小柄ライダーへの優遇とは
10月に発表された新型「Z900RS」は、これまで大きなモデルチェンジを受けてこなかった本機にとっての転換点となった。スタイルこそ従来から愛されている「Z1」仕様を変えていないものの、エンジン、電子制御など各種装備が見直され、より現代的なアップデートを遂げたのだ。もちろんライディングポジションも変わっており、より低くコンパクトなポジションを狙ったナローハンドルを新装備。50mm内側、38mm下方に移動したグリップ位置によって、小柄なライダーにも快適な姿勢に進化したという。

ついにモデルチェンジを遂げたZ900RS。現在のところSTDは未発表で、上級装備の「SE」、特別カラーの「ブラックエディション」カウルを備えた「カフェ」の3モデルがラインナップ。発売予定は来年2月となる。
ところが小柄なライダーが最も気になるポイント――シート高は、従来からなんと10mmアップ。たかが10mmというなかれ、この数値は小柄なライダーにとって、つま先が接地できるか、母指球まで接地できるかを分かつもの。小柄ライダーに快適な姿勢を作ったといいつつ、足つきが悪化したのでは本末転倒といっていいだろう。
しかしカワサキの発表によれば、「シート高は上がっているが、国内仕様ではERGO-FITローシートを標準装備し、タックロール形状、ウレタンの配置を見直したことで沈み込みを向上。足つきは従来とほぼ同等」という。本当にそうなのだろうか? そこで今回、ちょうどよく旧型Z900RSと新型Z900RSを同条件で確認できるチャンスをゲット。ディテールの違いもおさらいしつつ、その真実をあばきたい!
まずは変更点のおさらい。見た目はほとんどそのままでも、よく見れば確かに違う!
エンジンの基本設計は従来通りで、ストリートファイター「Z900」と設計を共有する水冷並列4気筒948ccエンジンを搭載。大きな変更点は新たに電子制御スロットルバルブを採用したということだ。従来のワイヤー式はダイレクトな操作感が魅力だったが、このフィーリングは維持しつつ、新たにアップ/ダウン対応のKQS(カワサキクイックシフター)、クルーズコントロールの装備が可能となり、現代的な装備が充実。また変化したスロットルタイミングに合わせ、吸気ファンネル、カムプロフィール、ECUの設定も最適化されているという。
また最新排ガス規制EURO5+の適合のため、排気系統は大きく仕様変更されており、エキゾーストパイプは取り回しを変更。OBD2センサーが触媒に追加され、さらにサイレンサーも7cmロングに。またサイレンサーエンドの形状も見直されており、従来の斜めにスラッシュカットされた形状から、フラットで落ち着いた形状となっている。これらの変更によってエンジンパワーも変化しており、高回転域のパフォーマンス、最高出力の向上も達成しているというが、詳細なスペックは未発表につき、出力やトルクの変化については正式発表を待ちたい。
また先にお伝えした通り、ハンドル位置やシート高が見直されたことで、ライダーのポジションはよりコンパクトに変化。またライダー支援システムとして、新たに6軸IMUによるKCMF(カワサキコーナリングマネジメントファンクション)パッケージの採用によりトラクションコントロールが高度化。コーナリング時のブレーキングや急激な路面変化、悪路面に対応する安定した減速を可能とするABSの高度な制御も備えた。スマホ連携機能も新装備し、「RIDELOGY THE APP MOTORCYCLE」アプリとの接続によって残燃料、オドメーター、メンテスケジュールなどの車両情報をスマホで確認できるライディングログ記録、着信通知、ナビ機能の表示、音声コマンド機能も搭載。それでいて従来からの、砲弾型アナログ2眼メーターとミニサイズの液晶モニタ、というコクピットレイアウトは引き継いでいる。







コメント
コメントの使い方