53年に及ぶホンダ空冷直4の歴史に幕を降ろしたCB1100
続いてはCB1100(ホンダ)。唯一の空冷直列4気筒モデルだったが、2022年型でファイナルエディションが設定され、殿堂入りとなった。
ホンダの空冷直4と言えば、1969年のCB750フォアに始まり、CB900F/750F(1979年)、CB1100R(1981年)とキラ星の如き名車が揃う。その53年に及ぶ歴史がCB1100で終焉を迎えたのだから衝撃が走った。
STDは2021年型がスライドしてそのままラストに。クラシカルなEXグレードとスポーティなRSグレードには、特製エンブレムや専用色を与えたファイナルエディションが設定された。2021年10月~11月末頃まで期間限定受注で販売する予定だったが、早期に完売している。
CB1100は2010年2月にデビュー。1992年のCB750以来、約18年ぶりに新開発された空冷CBで、エンジンはCB1300をベースに空冷化しており、バルブタイミングをわざとズラすことで「鷹揚」な走りを実現していた。
空冷エンジンは、水冷と違って熱を一定に保ちにくく、燃焼温度のバラつきがあるため、排ガスが増加しがち。2000年代にはカワサキのゼファー、ヤマハのXJRシリーズなど多くの空冷直4機が排ガス規制により生産終了に追い込まれた。
CB1100も継続が期待されたが、終売。過去には欧州などで販売されたが、これも現在は日本専用となっていた。
初代は1978年デビュー、生きた化石SR400も時代に抗えず
ヤマハのSR400は、初代が1978年デビューという驚異のロングセラー車。発売以来、流麗なスタイルと、空冷+キックスターターなどの基本構成を維持したまま熟成を重ねてきたが、43年目の2021年型で生産終了がアナウンスされた。
2021年1月21日に発表されたファイナルエディションでは、通常販売のほか、1000台限定のリミテッドを用意。発表から数日で年間販売計画の6000台(ファイナル5000台、リミテッド1000台)を超える受注が殺到した。
生産終了の理由は、排ガス規制に加え、2021年10月に導入が開始されたバイク用ABSの義務化も大きい。シンプルな車体のため、ABSユニットの搭載スペースを確保するのが困難だった。
そして伝統のSOHC2バルブ空冷単気筒は2010年にFI化したほか、2018年にはキャニスターなどの追加で平成28年排ガス規制に対応。まさに延命を図ってきたわけだが、新規制に対応するのはコスト的にも技術的にも難しかったようだ。
なお、タイでは今なおSR400が販売されているが、日本へ逆輸入してもABS規制と排ガスの関係で登録はできない。
愛されバイク、セローも2020年型でラストとなった
セロー250(ヤマハ)は、1985年の初代225から数え、35年目の2020年モデルで殿堂入りとなった。
粘り強い特性の空冷単気筒と軽量スリムな車体を持ち、野山を散歩するような「マウンテントレール」という独自の世界観を構築。2019年12月に生産終了が発表され、ファイナルエディションが翌1月から発売された。
生産終了の理由は、排ガス規制のほか、ABS規制、さらに2020年7月から導入されたヘッドライトの認証試験基準変更が理由の一つでもある。
SRと同様に現在、メーカー在庫は完売。新車はショップにある店頭在庫のみとなるが、ヤマハ公式HPでは現在もラインナップされている。また、北米など独自の排ガス規制を敷く一部の海外では「XT250」のネーミングで継続販売中だ。
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