コーナリングは安定感抜群で意外やスポーティ、小回りも得意だ
そして走りの安心感が高い。独自のモノコックフレームは適度に剛性を抜いた設計とのことだが、かなりカッチリした感覚で、車体の安定性に貢献している印象だ。
サスはフロントをグロムから流用、リヤはストロークなどを伸ばして2段レートのスプリングを採用した専用品。ソフトながらも適度なコシとストロークがあり、ギャップでの衝撃をかなり吸収してくれる。直進安定性も高く、125クラスとしては乗り心地が良好。郊外の道路を60km/hで巡航するシチュエーションで実に快適だ。
コーナリングも楽しい。スッと体重移動するだけで自然に曲がっていく。ギリギリ前へ座ればヒザでバックボーンフレームを押し込めるとはいえ、さすがに過激な走りは難しい。しかし車体に剛性感があり、ブレーキング~旋回中~立ち上がりと常に安定している。パワフルな中速域と相まって意外なほどスポーティで、通常のモーターサイクルに近い感覚でライドできる。
加えて小回りも得意だ。ハンドル切れ角が42度もある上に車体が軽く、足着き性も良好なので、Uターンは何ら不安がなかった。
2時間ほど千葉県の郊外を走ったが、シートに前後長があり、ポジションを変えやすいため、お尻が痛くなることもなかった。街中から郊外へのショートツーリングまで幅広いステージで楽しめるのだ。
ただし燃料タンク容量が3.8Lと小さめなのはタマに傷。今回の試乗で燃費は計測できなかったが、WMTCモードでリッター65.7kmを記録しており、理論上の航続距離は249.66kmもある。簡単にガス欠はしないものの、グロムやモンキーよりは航続距離が短いのでご注意を。
新感覚、125とは思えないタンデム性能はダックスの大きな魅力
「ファミリー&レジャースニーカーズ」を謳うダックスだけに、しっかりタンデム性能も造り込まれている。
後席の座面は、狭すぎず広すぎない面積が確保されている。男性二人で試してみると、拳1つ分程度は前後ライダーの間にスペースがあり、密着するほど狭くはない絶妙な距離感だ。
タンデムステップはフレームマウントで、位置も快適性も優秀。そしてシートを囲むように配置されたグラブバーも握りやすい。125にしては総じて快適な部類だ。
タンデムで運転してみても許容範囲だった。小排気量車で二人乗りすると、パワー不足やサスの沈み込みなどで挙動の変化が激しく、運転しにくいのが常。ダックスもさすがに変化はあるが、元気な低中速域パワーとタンデムも考慮したサス設定により、かなり走りやすい。ショートツーリング程度なら全く問題ないだろう。
サスはソロでも適度に動きながら、タンデムでイニシャル変更をしなくても違和感のない設定としているのだから見事。125クラスでこれほどタンデムが快適なバイクも珍しい。
自動遠心クラッチは、ビギナーにとって変速時にギクシャクしにくい上に、クラッチレバーなしで変速できるため、タンデム時も安心感が高い。
ベテランはマニュアルの方がスムーズだろうが、自動遠心クラッチでも変速時にペダルを踏み込んだままにしおくとクラッチが切れた状態となり、変速時のショックをより緩和することが可能だ。
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