排気量に関わらず5.4ps以内なら「原付一種」に。走りも遜色ない?
この案が実現すれば、排気量125ccバイクの排気量はそのまま、出力のみ5.4ps以下にデチューンした車両が新「原付一種」クラスととしてラインナップされることになる。
ただしダックス125などのレジャーバイクや、PCX125のような高級コミューターに出力制御をかけるのではなく、アジアなどで販売されている低コストで軽量な110~125ccスクーターが出力制御され、“原付化”される模様。あくまで現行50ccモデルと同等の商品性とするのが狙いだ。
もちろん原付免許制度のほか、原付一種ならではの30km/h上限、二段階右折といった独特なルールは継続。このルールは枠組みの変更を機に見直して欲しい部分だが、警察庁は免許制度の改正に消極的のようだ。
では、今後の「新原付一種」はどんなバイクになるのか。現行50ccと125ccクラスを比べると、車格はほぼ同等だが、車重は125ccの方が20~30kg重い。
一方で馬力は現行50ccが4ps台なのに対し、新原付は5.4psとパワフル。低速トルクも現行50ccより太くなるので、加速性能や坂道での走りは、車重増を帳消しにできるハズだ。
また、グローバルな110~125ccモデルはアジアで50万~200万台規模を販売しており、大量生産によるスケールメリットも期待できる。価格は、現行50cc並みの20万円前後となるか。
ちなみに、車両はもちろん国内の排ガス規制をクリアするのが条件。インドやベトナムの125クラスは既に日本の令和2年排ガス規制(ユーロ5)相当の排ガス規制をクリアしているので、日本仕様とする際に大きな問題はないだろう。
電動バイクと共存しながら、今後もガソリンエンジンの原付一種は必要
電動バイクは航続距離、インフラの未整備、高コストなどの問題があり、2025年からガソリン車の原付一種を完全電動化するのは困難。また、電動アシスト自転車や電動キックボードといった近距離の交通手段はあるとしても、より遠距離の移動手段として原付は優れている。不要論を唱える向きもいるが、原付一種は今後も必要な乗り物。少なくなったとはいえ、現に年間12万台の需要があるのだ。
しかし、次期規制に対応するのはメーカーとして技術的にもコスト面でも“厳しい”と判断したのだろう。
これを存続させるための手段が、今回の出力による区分案だ。道交法などの改正は「2023年中が目標」とのこと。その後、新原付の開発がスタートするだろう。AJの案がそのまま採用されるかはわからないが、庶民の足である原付一種を残すべく政府には改定を進めてほしい。
さらに他の排気量帯でも出力による区分について議論を始めてもらいたい。
欧州のA1免許は、排気量に関わらず最高出力35kW(47.6ps)以内に乗車可能。対して日本は普通二輪免許(400cc以内)という国内独自の制度があり、50ccの原付一種と同じく400ccは旧態依然とした区分になっている。
既に日本も電動バイクでは出力による免許区分や排気量帯を既に採用済み。今回の提案を機に、ガラパゴス化した制度を今一度、再点検してほしいものだ。
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