伊豆急下田→河津をバスで移動したい……その願いを叶えるバス路線が至宝の存在だった!!

■100年以上の歴史アリ?

 続いて、S32系統の歴史を遡ってみると、確たる資料は残されていないようだが、1924年頃に認可を受けたと伝わる、下田自動車の「海岸線」と呼ばれた白浜海岸を経由するバス路線が、区間・経路ともによく似ている。

 伊豆急行線が開業して南伊豆に鉄道ができたのは1961年なので、下田自動車の時代は始点/終点の位置が今と異なる。

 それぞれ現在の下田市二丁目と、河津町浜の付近にバス乗り場(下田側は下田自動車の本社)があったらしい。

 1929年の時刻表を参考にすると、下田〜濱橋間を1日6往復、所要時間50分で結んでいたとある。

 下田自動車は1932年に東海自動車と合併して今日の東海バスへと至るため、系譜が途切れていないと考えるのも不自然ではなさそう。

 とすれば、東海バスS32系統は下田自動車の海岸線をルーツに持つ、100年以上の歴史を重ねた名門路線だと想像してみるのも、歴史ロマンがあふれて楽しい。

S32系統に充当されていたエルガミオ。サイクルラック付きでナンバープレートの掲示位置が大変ユニーク
S32系統に充当されていたエルガミオ。サイクルラック付きでナンバープレートの掲示位置が大変ユニーク

 何気なしに選んで乗ってみた東海バスS32系統。利用しつつ経歴を掘り下げてみれば、バスが見せる景色・歴史ともに知的好奇心を掻き立てる至宝の存在であった。

【画像ギャラリー】チャンスは1日1度だけ、でも乗りやすい東海バスS32系統(9枚)画像ギャラリー

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