場所は異なれど同じ名前のバス停というのが全国に点在している。それらバス停同士を路線バスだけ使って結べるかどうか、神奈川県の2地点で試してみた。
文・写真:中山修一
■相模原の「若葉台」と横浜の「若葉台」
神奈川県相模原市と横浜市……同県大和市と東京都町田市を間に挟んだ位置関係の両市には、どちらにも「若葉台」を地名に持つ場所がある。
住所ベースで言うところの相模原市緑区若葉台は、面積約0.52平方キロメートルの土地に1〜7丁目までの街が広がり、2021(令和3)年のデータで人口2,159人を擁する。
一方で横浜市旭区若葉台は面積約0.9平方キロメートルの中に1〜4丁目まであり、同じく2021年のデータでの人口は13,596人。直線距離にすると、それぞれの若葉台は約21km離れている。
相模原の若葉台が一戸建て中心の住宅地であるのに対して、横浜の若葉台は分譲・賃貸マンションで構成されているのが、各若葉台での特徴の違いだ。
■どっちにもある同じ名前のバス停
相模原と横浜の若葉台には、どちらにも「若葉台中央」と命名されたバス停が置かれている。“中央”と名の付くだけに、街へのアクセスの中核を担う停留所になっているのは共通だ。
相模原の若葉台中央は神奈中バスが発着する、道路脇に作られた一般的なバス停だ。ほとんどのバスの終点/始点になっていて、最近はちょっと珍しい転回場付きの停留所「若葉台住宅」の1つ隣に置かれている。
横浜の若葉台中央の場合、人口が6倍ほど多い分、乗り入れるバス事業者の数も複数あり、横浜市営バス、東急バス、神奈中バス、相鉄バスの4事業者のバスが出入りしている。
こちらはタクシーとバスのみしか入れないロータリー式バスターミナルの構造で、降車専用が2箇所と、行先ごとに乗り場が3箇所に分かれている。
■若葉台中央から若葉台中央までバスで行く
そんな若葉台中央から若葉台中央まで、路線バスだけを使って行けるかどうかが今回の気になるポイントである。横浜市の若葉台中央から出発することにして、土曜日を選んで試してみた。
まずは横浜の若葉台中央を10:55に出発する神奈中バス「40系統」に乗り、終点の長津田駅前を目指す。バスは若葉台の中をぐるりと周回して利用者をピックアップしていく。
若葉台を出ると、途中環状4号線と東名道、国道246号線を交差するようにして進み、23分ほどで長津田駅前に着く。前乗り・前払い申告制で運賃は240円だ。
長津田駅前には時刻通りの11:18に到着した。降車後は駅コンコースを横切り、線路を越えた向かい側の長津田駅北口バス停に徒歩で移動する。
次に利用するのは神奈中バス「町77系統」町田バスセンター行きだ。1時間に大体1本のペースでバスが出ており、ここでは22分の待ち時間ができる。
町田へ行くなら長津田駅からJR横浜線に乗ってしまえば話が早い上に、普通はそっちしか選択肢は考えられない気もするが、それをやると話の腰を折ってしまうゆえ、電車の存在に対して現地では見て見ぬふりをキメ込んだ。
11:40に「町77系統」は時刻通りに出発。40系統は神奈中バスの中でも運賃の支払い方法がちょっと特殊で、ここから先はより一般的な後乗り・前降りの運賃後払い方式に変わる。
町田へ向かうということで、町77系統は都県境を越える路線バスでもある。県・都道140号線(成瀬街道)をメインルートに進むが、この日はやや渋滞気味で、本来12:05到着のところ6分遅れて12:11着になった。運賃は310円だ。