普段まったく意識しないが、気になり出すとモヤモヤしてしょうがないのが、降車ボタンの音はどこから鳴っているかの問題だ。
文・写真:中山修一
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■車内どこにいても伝わる例の音
一般路線バスに使われる車両なら、押すと光って音が鳴る降車ボタンが、車内の至る所に取り付けられている。
最近の降車ボタンといえば「ピンポ〜ン」系の電子音が主流だ。ひとたびボタンが押されると、一番前の席(通称オタシート)に座ろうと最後部(ワルシート)に尻を落ち着けようと、確実にあの音が聞こえてくる。
車内どこにいても良く伝わる音を発するには、大きな音を出せるスピーカーが必要になる。しかし、そのスピーカーはどこに付いているのだろう?
大きな音を1箇所で鳴らしているのか、それとも複数のスピーカーが分散して車内にセットされているのか、スピーカーの設置位置など普段1mmも考えたことがない。とはいえ一度気になりだすと放置できなくなるトピックに化けた。
■原始的に音の出どころを探る
降車ボタンの音の発生源はどこか…コタツから出ることなく解決できそうな気もしなくはないが、それでは面白くないというか、実体験を伴わないと付帯可能な説得力が弱すぎてモヤモヤを消し切れない。
「専門家に聞く」もまた、早くて手間のかからない(手間を相手に肩代わりさせるとも言う)カードの一つだ。しかしこれも最初から使うと、他人の褌で云々も大概になってしまう。
始めのうちは出来る限り自力で解決へと導く活路を見出しつつ、専門家や関係各位の見解は、どうしてもダメだった時まで温存しておきたい。
とりあえず近くを走る路線バスに乗ってみることにして、どうすれば音の出どころを探れるかと思案して行き着いたのが、最も原始的ながら確実なソリューション「静かに聞き耳を立てる」だ。
■ボタン本体、ドアブザー、それとも!?
まずは、降車ボタン本体にミニスピーカーが内蔵されていて、そこから鳴っている可能性を考え、ボタン本体に耳を傾けてみた。
最近の降車ボタンは感触がハッキリした硬めの押し具合が多い。降りる手前で押してみると、物理的なクリック音はするものの、「ピンポ〜ン」は発していないと分かった。
次に注目したのが、天井に付いている車内アナウンスを流すためのスピーカー。もしかすると降車ボタン兼用かも知れない。
実際のところ、全部に当てはまるとは言い切れないが、こちらも車内アナウンス専任のスピーカーとなっているようで、降車ボタン音まで鳴るタイプは皆無かごく少数と見られる。
では、後ろ側のドア近くに取り付けられている、ドア開閉時に「ブー」と鳴るドアブザーはどうだろう……複数の事業者のバスで聞き耳を立てたところ、ドアブザーと降車ボタンにも直接の関係性はなかった。