35年目の代替バスが3分割されるってマジ!?  JR名寄本線と名士バス興部線

35年目の代替バスが3分割されるってマジ!?  JR名寄本線と名士バス興部線

 国鉄・JRの鉄道線から転換されたバス路線「代替バス」が、全国で現在も活躍中だ。鉄道時代からどう変わり、最近はどうなっているのか……代替バスの実像に迫る今回のテーマはJR名寄本線の名寄〜興部間!!

文・写真:中山修一
(現地取材時の詳細写真ギャラリーを含む写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)

■北の長大ローカル線だった名寄本線

雪景色の名寄駅。かつてここから名寄本線が分岐していた
雪景色の名寄駅。かつてここから名寄本線が分岐していた

 JR宗谷本線が通る名寄から分岐し、オホーツク海側の紋別を経由しながら現・JR石北本線の遠軽駅までを結ぶ、名寄本線と呼ばれた鉄道路線がかつて運行していた。

 名寄本線の全通は1921年。本線138.1kmに加え、途中の中湧別から支線が4.9km延びており、合わせて143kmにも及ぶ長大路線の一つに数えられた。

 その昔は貨物列車や急行列車が行き交い、大変賑わったと言われているが、マイカーの普及や沿線人口の減少などで利用者が減りはじめ、後年は赤字路線として国鉄が行った合理化と路線廃止の対象に加わった。営業係数は1985年度の実績で1,792。

 しかし、距離が極めて長い路線だったため、冬期を中心に代替交通手段を立てられるか検討の余地があり、国が赤字補填をすることで、JR化後も2年間だけ暫定運行が続けられた。

 当時、一部区間を第3セクターに移管する計画もあったが、採算が全く取れない試算結果から立ち消えとなっている。名寄本線は1989年5月1日に廃止となった。

 北海道の国鉄/JRの鉄道で路線名に「本線」が付くもので全線が廃止されたのは、2024年1月現在のところ名寄本線が唯一(今後は2026年に留萌本線が3度目の廃線を迎え全廃予定)だ。

■走り始めて35年

 1989年5月1日の名寄本線廃止に伴い、同地域を結ぶ主要公共交通機関が代替バス(鉄道転換バス)にバトンタッチした。バス転換に組まれた交付金の合計は42億9,000万円とされる。

 昔は名寄〜紋別〜遠軽間を通し運行するバスもあったが、代替バスが走り始めて35年目を迎える2024年1月の時点では、路線が3つに分割されており、それぞれ運行する事業者も変わる。

 現在のところ、名寄〜興部(おこっぺ)間を名士バス、興部〜紋別間が北紋バス、紋別〜遠軽間は北紋バスと北海道北見バスが担当している。今回は名士バスに注目したい。

 名士バスによる名寄〜興部間の路線は「興部線」と呼ばれる。名寄側では全国の路線バスによくある病院が始発と終点になっており、全区間の距離は69.3km。鉄道代替バス部分に該当する名寄駅前〜興部間は68.2kmと、それなりに長い。

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