■ビビッドなボディカラーが目印
名寄駅前→興部までを利用することにして、名寄駅前バスターミナルで待っていると、シルバー主体にオレンジと赤を組み合わせた、名士バスの大型路線車がやってきた。
車両の顔立ちからして、三菱ふそうエアロスターかな? と思ったのだが、その正体は日産ディーゼルのスペースランナーAで、元は西武バスに在籍していた2009年式のクルマであった。
前と中央にドアの付いた標準的なレイアウトの路線車が使用されているが、前ドアの脇に「出入口」と表記され中ドアは締切。この路線では前乗り・前降りの運賃後払い方式が採られていた。
■遺構見える? “ひと山”越える路線バス
バスは名寄の市街地を少し南下してから大きく方向転換し、一路オホーツク海側を目指す。名寄を出発して約30分後の下川バスターミナルに立ち寄る他は、国道239号線をほぼ道なりに進んでいく直球系の経路だ。
行程の中間地点くらいまでは緩い上り坂が続き、国道の区間に含まれる標高約300mの天北峠の頂上を境に、下り坂へと転じる。名寄周辺の標高は98mくらいで、一方の興部周辺は6mほどだ。
名寄本線の跡には今も駅舎や車両、ガーダー橋などの遺構や記念物が点在している。バスに乗りながら名寄本線の面影を追えるかと言えば、中名寄駅の規格型駅舎や上興部駅跡など、全部は無理だが見えなくもない。
名寄〜興部まで所要時間は1時間半ほど。鉄道時代に比べるとバスのほうが若干速くなっている。名寄駅前からの運賃は1,790円。興部のバス停は名寄本線の興部駅だった場所にあり、交通記念館と道の駅が併設されている。
名士バス興部線は1日上り・下り7本ずつ。2〜3時間に1本くらいのペースでバスが出ている。あまり多くはないが、鉄道時代に全区間を直通できたのが上下7本ずつだったため、本数自体は昔と変わっていないと言える。
同区間にあった鉄道の駅数は17駅、対するバス停は85箇所。停車ポイントが激増するのも代替バス定番の見どころだ。ちなみに当日の利用者は短距離の区間利用を合わせて7名ほどで、名寄〜興部の通し利用は2名だった。
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