■年代を追ってワイパーを見ていくと……!?
前述の通り、戦前〜昭和20年代は吊り下げ式ワイパーが多い。昭和30年代に入ると、ワイパーの駆動部分をフロントガラスの下に配置して、ワイパーのアームとブレードを上向きに立てた車両がポツポツ出始める。
昭和40年代に時間を進めると、吊り下げ式から上向きワイパーに代替わりする様子が伺える。この時期から、アームがスイングすると、ブレードを立てた状態のまま水平方向にアーチを描きながらスライドするタイプが増えてくる。
ワイパーがOFFの状態では、フロントの左右ガラスの継ぎ目部分で2本のブレードが手を合わせているように見えるため、このタイプは俗に「合掌型」とも呼ばれる。
路線バス車両はフロントガラスが左右2枚構成になったデザインが主流で、それは今日まであまり変わらないまま推移しており、昭和40年代以降の路線車のワイパーは合掌型が定番となっている。
■路線車的に特異なワイパーって?
合掌型に落ち着いて既に50年以上が経つ路線車のワイパーであるが、合掌型以降にも、ちょっと変わり種が存在した。
1980年代に登場した、いすゞ製の「キュービック」はフロントが1枚ガラスだったため、ワイパー停止時は左右2本のアームとブレードが腕を組んだような状態になっており、作動させると左右互いに外側へ向けて開くタイプが搭載されていた。
動く様子や構造から、「ケンカワイパー」や「対向式ワイパー」とも呼ばれる。キュービックの他には小型バスの日野ポンチョや、燃料電池バスのトヨタSORAもそうだが、路線車でこのタイプは珍しい部類に入る。
一方で、フロントが1枚ガラスになっている車種の多い、高速バスや観光バスの車両で対向式ワイパーは割と一般的だ。
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