■5台の同発はあるのか?
続いてバスターミナルを見渡せる場所から見ていこう。ここから見るとバスターミナルを挟むように駅前広場があり、その前を途切れなく車やバスが行き交っている。バスターミナル自体はあまり余裕はなさそうで少しこぢんまりした感じだ。
ターミナルの端には回送などバスを停車させておけるスペースもある。あちこちから吸い込まれるように集まってきたバスが少しずつホームを埋めていく様子が分かる。またバスが出発すると、すぐに次のバスがやってくる等、入れ替わりがとても激しい。
こうなると見たくなるのは全てのホームにバスが入り、一斉にバックして出て行く光景である。実際にそんな瞬間を見れるのか、それぞれのバス乗り場の時刻表を確認してみる。すると1時間あたり約2~3回は発車時刻が一致しているところがあり、同発時刻であれば一斉に出て行くところが見れそうだ。
思ったよりも何度も見れるチャンスがあることは意外に思えたが、そこは鉄道から降りてきた客が各方面へ乗り換えするのに便利であり、バスからバスへの乗り継ぎがうまくできるように利便性を上げているのではないかと思われる。
早速、当該時刻まで待ってみることにしたが、そこは交通事情があり、信号のタイミングや渋滞のために入線が遅れ、なかなか5台入るところが見れない。そして待つこと20分ほどで、遂に5台並ぶシーンを見ることができた。バスの大きさまでは揃ってなかったので、少しボリュームに欠けるところはあるが、しばらく待っていると赤ランプが点灯し出発時刻になったようだ。
すると少しずつバスがバックを始め1番ホームのバスからバスターミナルを出発していった。1台ずつのバックではなく一斉にバックを始めるのが見所だ。5台のバスは交差点から各方向へ広がるように走り去っていった。
■昭和スタイルのバスターミナル
今回は昭和のバスターミナルの一形態についてレポートした。ちなみに筆者が思い浮かべる「スイッチバック式」バスターミナルというと、新潟駅万代口にある「万代口バスターミナル」だ。あちらは名鉄東岡崎駅とは逆で、ホームへバックで進入して、前進して出発するタイプだ。
ただ2024年3月末に遂に廃止が決まった。そして名鉄東岡崎駅のバスターミナルも駅の再開発が始まっており、現在はバスターミナルの両側が封鎖されていて、本年中には南口ビルが開業、そして北口駅ビルの解体工事が始まる。
現在のところバスターミナルの工事がいつになるのかは明らかになってはいないが、再開発完了は2030年という予定なので、あと数年のうちに消滅するのは確実である。古き良きノスタルジックな昭和の雰囲気漂うバスターミナルを機会があれば見バスを兼ねて訪ねてみてはいかがだろうか。
【画像ギャラリー】2030年までに「ひがおか(東岡崎駅)」が変わるってマジ?(11枚)画像ギャラリー