鉄道旅をやるには特にオイシイ区間が2020年に廃止されたJR札沼線(学園都市線)。当別起点で最後の代替バスに乗り、終点だった新十津川駅の今の様子を見に行ってみると……!?
文・写真:中山修一
(新十津川駅前ビフォー&アフターの写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■多芸な3番目の代替バス
JR当別駅前11:35発、札沼線代替バスの「とべ〜る号」・「かばと〜る号」を乗り継いで、当別から約38km離れた浦臼駅へとコマを進めてきた。
JR線時代の終点だった新十津川駅まで、残るはおよそ15km。3番目・最後の代替バスを飾るのは、浦臼町営バス「浦臼滝川線」だ。この路線は2022年9月まで運行していた、北海道中央バス「滝川浦臼線」の後継でもある。
そのため、鉄道代替バスと民営事業者がやっていた路線バスの代替バス、2つの顔を持っている。クルマはマイクロバスの三菱ふそうローザ。白いボディの横で浦臼町旗を振る、厚化粧で自称32歳の「臼子ねぇさん」が目印だ。
■みんな帰っちゃうの?
浦臼滝川線は平日4本・土休日3本の設定。11:35発で来ると、浦臼駅15:30の便を利用できる。浦臼駅では約2時間15分待ち。土休日はこれが最終便なので、逃すと後がめんどくさい。
当日、浦臼の交流施設でイベントが開催されていた関係か、それを見に来るお客さんで、前に乗車した「とべ〜る号」と「かばと〜る号」はそれなりに賑わっていた。
浦臼町営バスに乗り継ぐのは何名くらいかな? と思っていたら、浦臼滝川線と同じ15:30に出発する、折り返しの「かばと〜る号」で帰る人がほとんどで、当別発で最後まで乗り通す他の利用者はゼロ……独りぼっちになってしまった。
■駅跡見学は途中下車で
バスは時刻通りに出発して、線路横の国道275号線を足並み軽やかに進んでいった。バスはJR函館本線・根室本線の滝川駅まで直通するが、新十津川駅の跡を見に行くなら途中の「新十津川農高前」が最寄りになる。所要時間は約23分、運賃は400円だ。
新十津川農高前のバス停で下車してから、駅跡まで徒歩で大体10分といったところ。何度か、気が向いた時に来ていたせいか、どことなく通い慣れた気がする駅へのアクセスルートを歩いていくと、そこには何やら見慣れない光景が……
廃止後に新十津川駅跡が工事中だった頃にも来たことがあったが、それに増して凄くスッキリ、非常に開放感のあるキレイな空間が広がっていた。
駅周辺に鉄道林が植えられ、緑の多さや古い駅舎も相まって、野晒し具合に妥協を見せなかった鉄道現役当時を振り返ると、ここ本当に同じ場所か!? と思えるくらいの激変ぶりに驚かされた。鉄道林がなくなると、こうも見た目が変わるのか……。
2024年6月現在のところ、駅舎は既に解体され、「駅跡地さくら公園」の名称で、プラットホームとアプローチの階段、一部レールや駅名標等が整備保存されている。2023年10月オープンと、公園としてはまだ出来たばかりだ。
■罠? あるよ。
札沼線代替バスの旅は、この新十津川で実質終了。とはいえ新十津川に留まるわけには行かず、いずれにせよ滝川駅へ向かわないといけない。ここで浮上するのが、新十津川→滝川駅への足はあるのか、という話だ。
もし平日なら次に来る浦臼町営バスに乗ればよい、と思いたくなる。ところが浦臼町営バスは、新十津川〜滝川駅間の区間乗車ができないルールになっており、思惑は脆くも崩れ去る。
別のバス路線を見ると、「新十津川役場」バス停から、北海道中央バスによる滝川駅行きが出ている。それなら安心……ではあるものの、問題はバスの時間だ。
浦臼町営バスで15:53に新十津川農高前バス停に着いて利用可能な、直近の北海道中央バス滝川駅行きは17:50発。ここでも2時間近くバス待ちが発生。『恐怖の報酬』よろしく、ミッション完了して安心した後に、ダメージのでかい罠が待っていたりする。
新十津川〜滝川の間は約4km。駅跡見学に割く時間にもよるが、大抵は歩きの方が早く着けるハズ。当日も迷わず徒歩、景色見ながらゆっくり歩いて大体1時間。でもこの手段、日没が早い季節だとちょっとキツいかも。
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