バス停を徒歩連絡してみたら明治時代の道が……世界遺産に遭遇!?

今度は強烈な下り坂!

 この舗装の怪しい坂道を登りきると眺めが急によくなる。そしてさらに急な下り坂になり、続く歩道はまた広く車止めがありこちら側から車は入れない。そして車道になり、目的の2つ目のバス停付近に到着する。

急に細くなった坂道を登りきると急な下り坂でその先は車止めがありこちら側から車は入れない
急に細くなった坂道を登りきると急な下り坂でその先は車止めがありこちら側から車は入れない

 2つ目のバス停は「愛宕神社」で、左右を横切るバスが通る道路は香月営業所と黒崎方面を結ぶ2つのメインルートの1つになっていて、バスの便数は比較的多い。朝は小倉行きの都市高速経由のバスが通る。

この怪しい歩道の正体は?

 怪しげな歩道はバス通りを越えてさらに進むと川に突き当たる。金山川だ。この河川は二級河川で北九州市の帆柱山から鹿児島本線折尾駅付近の堀川に注ぎ込み、最終的には洞海湾に流れる。件の歩道はここで終わり金山川を渡る橋はここにはない。しかし大きな金属製の管が歩道から突き出て金山川を渡っている。

愛宕神社バス停からは黒崎方面のバスが比較的多くある
愛宕神社バス停からは黒崎方面のバスが比較的多くある

 この歩道としては全体的に異様に広く、車道とは完全に分離された道は正確には日本製鉄(元の官営八幡製鐵所・後の新日鉄や新日鐵住金)の私道である。もちろん並行する車道は中間市道や北九州市道である。

 この歩道の下には送水管が埋められており、歩道はその保守管理用だ。普段は管理用の道を歩道として開放しており、意識することなく人が歩いている。

稼働中の世界遺産を結んでいる!

 この送水管の出発地点は遠賀川水源地ポンプ室 (中間市)で、明治42年に建造されたレンガ建てのポンプ施設だ。遠賀川から取水した水を養福寺貯水池まで送水し、貯水池から製鉄所に水を供給している。

 ポンプ室は現役でもちろん現在では蒸気機関ではなく電気ポンプで送水しているが、このポンプ室は世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」に指定されている稼働施設だ。

金山川に突き当たると送水管の橋だけがあり管理は市でも河川事務所でもなく日本製鉄
金山川に突き当たると送水管の橋だけがあり管理は市でも河川事務所でもなく日本製鉄

 そして送水された水は、最終的には同じ世界遺産の施設が多く集まる日本製鉄九州製鉄所内に送られている。よってこの歩道は2つの登録された世界遺産を結ぶ送水管の上にある。

 ポンプ室も製鉄所も現役で活躍している施設内にあるので、通常は公開されていない。しかしこの歩道はだれでも歩くことができるのでおススメだ。

 これら2つの停留所を結ぶ経路は、細く古い歩道を除いては30年くらい前までは森と谷で道路や住宅はなかった。現在ではこの区間は谷が埋められ車道ができ、同時に送水管が通る歩道を連続的に歩くことができるので選択してみた。

 愛宕神社バス停からは黒崎インター引野口や西鉄黒崎バスセンターで、高速バスや鉄道に接続できるので便利だ。

見極めはマンホールで!

 これらの歩道と並行車道の一番の違いはマンホールなので、通行の機会があれば確認していただきたい。車道や北九州市道になっている道路のマンホールは北九州市の市章がデザインされているが、歩道には旧新日鉄のロゴが描かれているのですぐにわかるはずだ。

旧新日鉄のロゴマークが入ったマンホール
旧新日鉄のロゴマークが入ったマンホール

 中間市内のバス路線と北九州市の路線を徒歩連絡で乗り継ぐ必要はあまりないだろうが、世界遺産をつなぐ道として歩いてみてはいかがだろうか。なお愛宕神社バス停から黒崎方面のバスに乗ると養福寺貯水池の脇を通るので、地図アプリで見れば遠賀川から送水されている距離感がつかめることだろう。

【画像ギャラリー】2つのバス停を徒歩連絡してみたら不自然な歩道が!世界遺産を垣間見る明治時代の道を歩く(20枚)画像ギャラリー

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