2本の鉄のレール上を走る乗り物のことを普段どう呼ぶかは地域によって異なる。動く仕組みが電気だろうと内燃エンジンだろうと、「電車」のところもあれば「汽車」のエリアもあるわけで、いうなればマクドとマックの違いみたいなもの。
電車あるいは汽車を利用する際、交通系ICカード以外なら紙の切符(乗車券)を購入するのが基本であるが、そんな“電車”の切符で乗れるバスが全国にある。
文:中山修一
写真:中山修一/バスマガジン編集部
(1)神出鬼没系〜代行バス その1〜
突然の車両故障や悪天候の影響などで、列車が普段通りに走れなくなった場合、通れないtZb 区間をバスで代行することが稀に起こる。この場合、持っている電車の切符を見せれば、そのまま利用できる。
いつ・どこで起こるか分からない点で、ある意味当たればレアな体験かも。
また、列車が途中で運転打ち切りとなってしまい、その時点での乗車人数が少ないとタクシー分乗になるケースも、特にローカル線では多々ある。
広い意味ではタクシーもバスの一種(詳しくはコチラ!)になるので、例えクルマが小さくても代行バスの一種と考えたいところだ。
(2)復旧が大変〜代行バス その2〜
残念ながら近年は頻発するようになってしまったが、大雨など極悪な天候により壊れてしまった線路の復旧まで日数を要すると、不通区間がバス代行になる。
バス輸送に代わっても、路線の扱い自体は鉄道のままであるため、切符も元の通り鉄道の窓口や券売機で購入できる。
2022年9月現在で代行バスを走らせているJRの路線は、根室本線、奥羽本線、米坂線、磐越西線、日田彦山線各線の一部区間など。
JR北海道の日高本線のように、不通区間を復旧せず廃線にする事例もある。廃線後は代行バスも一般路線バスに鞍替えとなり、鉄道の切符では乗れなくなる、と言うより切符自体が作れなくなる。
(3)系列会社同士の鉄道とバス
今では非常に珍しいパターンであるが、JRの電車からJRのバスに乗り継ぎたい(その逆も然り)場合、電車とバスを1枚の切符にまとめられる路線がごく一部にある。
JR湖西線の近江今津駅とJR小浜線の小浜駅の間をショートカットして結ぶ、西日本JRバスの若江線がそれで、日本で唯一の区間(全国でも希少な県境を越える路線バスでもある)となっている。
電車→バスを一枚にまとめた切符のことを、ちょっと専門的には「連絡乗車券」と呼ぶ。ただし、運賃の部分は電車とバスを分けて計算する。
また、JR東日本の気仙沼線・大船渡線のように、鉄道の線路をバス専用道路に転用したBRTも、鉄道と一緒にまとめた切符を発券・利用可能だ。こちらも運賃は別立てとなっている。
徳島県の阿佐海岸鉄道では、道路とレールの上を1台の車両で走れるDMV方式を採用している。
いわゆる片道乗車券は用意されておらず、回数券またはフリー切符を買う形であれば、鉄道と同じ切符でバス利用ができる。