四国の国鉄バス「なんごく号」をルーツに持つJR四国バスの「なんごくエクスプレス」。実際の利用感はどんな感じだろうか。
文・写真:中山修一
■駅やターミナルではなく車庫が始発
高速バス「なんごくエクスプレス」は、松山〜高知までを3時間くらいで結ぶ。150km以上の走行距離に対して、Web予約と割引を使うと運賃が2,000円を切るという、コスト面で見ただけでもかなりハイパフォーマンスな乗り物だ。
この路線では松山→高知が下り、高知→松山が上りに相当する。1日上下5本ずつあるうち、今回は平日の13時台に出発する下り便を利用することにした。
時刻表から途中の停留所を確認すると、JR松山駅や松山市駅・大街道といった松山市内の主要スポットに停車するとある。
座席指定ができるため、途中からだと満員で乗れなかった、なんて心配もなく、それなら市内で最もアクセスしやすい停留所を選べば良い。
訪問当日は松山市駅が最寄り停留所であったが、せっかくなので始発の「JR四国バス松山支店」停留所へと向かった。
JR四国バス松山支店停留所はどこにあるのか……伊予鉄松山市から郊外電車の郡中線で一駅目の土橋が最寄駅だ。「つちはし」ではなく「どばし」と読むのがポイント。
土橋駅を出て左方向に300mくらい行くと、JRバスの車庫が見えてくる。いかにもな「車庫!!」の風体ゆえ、乗り場は別の場所かと思いきや、車庫の中にJR四国バス松山支店の停留所が設けてあるのだ。
バス用駐車スペースの奥に事務所が建っていて、そこに「高速バスのりば」の看板が掲げてあるが、入口周辺には何も誘導がないため、ここホントに入って大丈夫なの? と一瞬戸惑ってしまった。
事務所の一部が利用者向けの待合コーナーになっている。トイレやドリンクの自動販売機もあり、乗車前の簡単な支度には不自由しない。
■市内を“プチロードクルーズ”
出発時刻の4分ほど前に、高知の行先表示を点けた「なんごくエクスプレス」が発着レーンにやってきた。2012年式の三菱ふそうエアロエースだ。
名簿と照らし合わせて予約の確認を取ってから乗車となる。松山市内の中心部各所から乗れるバスということで、車庫まで出向いた利用者はほかにはいなかった。
13:06にJR四国バス松山支店を発車した。車庫を出てすぐ松山市内へと進み、JR松山駅→大手町→松山市駅→大街道を回り乗客をピックアップしていく。
時刻表ベースに見ると、全行程3時間2分のうち、なんと46分を市内移動に割いている計算だ。路面電車が走る交通量の多い場所でもあり、バスの動きも割とゆっくりしている。
市内巡回中は、鉄道好きにおなじみの大手町駅ダイヤモンドクロスをはじめ、松山城のお堀や天守、大街道アーケード出入口の活気ある様子等々を車窓から見て楽しめる。ちょっとした観光バスに乗っているような感覚だ。