暖かくなり行楽地へのお出かけを計画している人も多いのではないか。この季節になると多くの遊園地・テーマパークが観光客で賑わうが、やはりそこは人気の差がありどこもいつも賑わっているというわけでもない。今回はなぜか異様な(!?)盛り上がりをみせている観光地を訪れた。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■志摩スペイン村で何がおきているのか?
発着点は三重県志摩市の近鉄鵜方駅である。伊勢志摩エリアにあり、周囲には伊勢神宮や鳥羽水族館、二見浦や賢島という観光スポットが点在する場所であるが、ここに「志摩スペイン村」が存在する。
志摩スペイン村は今から29年前の1994年に開園した、その名の通りスペインの空間を創り上げたリゾート施設であり、テーマパーク「パルケエスパーニャ」と「ホテル志摩スペイン村」、伊勢志摩温泉、志摩スペイン村「ひまわりの湯」の3つで構成されている。
テーマパーク部分だけでも広さは34haあり東京ドームに換算すると約7個分に相当する。園内はいわゆる遊園地的な部分と、スペインの街や自然を彷彿とさせて景色が広がるエリアが存在している。
公式サイトには「きらめく太陽、紺碧の海、豊かな大地。そんなスペインのおおらかな気風に包まれて……」とあるが、伊勢志摩の風景にも似たところがあったのかもしれない。
鵜方駅から志摩スペイン村まではバスかタクシーという交通手段になるのだが、バス停には多くの観光客が行列を作っていた。これは地元でも見たことのない風景である。
実はこの志摩スペイン村は、お世辞にもあまり人が来ているとは言えず、開園初年度は375万人という入場者数があったものの、ここ数年は100万人少しという状態が続いており、もともとの園内の広さもあってかなり集客には苦戦している。
数年前にはあまりにも人がいないことを逆手にとった自虐ネタをPRしてとして話題にもなったほどである。
そんな志摩スペイン村であったがこの2月から急激に来園者が増えている。その立役者がVtuber「周央サンゴ」である。彼女が自身のYouTubeチャンネルで志摩スペイン村への愛を熱く語ったのだ。
すると、まさかの志摩スペイン村公式からの広報大使(アンバサダー)に任命されることになり、そしてこの2月からコラボイベント開催…という流れになったわけである。
実際のところ、どれだけの集客になるのか予想できなかったが、ふたを開ければ初日は7000人と前年同日比2.3倍の大盛況。さらに動画の中でオススメしたチュロスは売上げ25倍の脅威の数字を叩き出し、大きくニュースに取り上げられることとなった