全国に25,000以上あると言われるバス路線。その中でも、県境を跨いで走る高速バス以外の一般路線バスの数は極端に少ない。そんな県境越えバスの実態はどうなっているのだろう? 今回乗りバスするのは東急バス「反01」系統だ!
文・写真:中山修一
乗車時期:2023年5月
■反01系統ってどんなバス?
隣の都府県まで足を伸ばす路線バスが走るのは、なにもローカルエリアに限らず、大都会東京にも何路線かが運行している。東急バスによる「反01」系統もその一つだ。
反01系統は、東急池上線とJR山手線が発着している、東京都品川区の五反田駅と、神奈川県川崎市の川崎駅ラゾーナ広場間の約12.3kmを結ぶ路線だ。
東京都区内と神奈川県の川崎市・横浜市に路線網を展開する東急バスなら、都県境を跨ぐ路線が普通にあってもおかしくなさそうだ。
ところが、200路線以上ある東急バス路線の中で、東京と神奈川を行き来するのは、二子玉川駅〜向ヶ丘遊園南口の「向02」系統、高津営業所〜砧本村の「玉06」系統、そしてこの「反01」系統のたった3つしかない。
3系統のうち玉06は平日の早朝に1本だけなので、向02と反01の実質2系統が、普段使いできる都県境越えの路線だと思っておけば差し支えない。
■東急バス屈指の“高額な”路線
そんな反01系統の実像を確かめるべく、さっそく五反田駅へと向かった。大勢の人々でごった返す、いかにも東京のビジネス街然とした様相の駅前からバスが発着している。
五反田駅は東口と西口の2箇所にバス乗り場が分かれており、一見すると西口が東急、東口は都営のイメージを抱くが、反01系統は東口の4番乗り場から出ている。
県境越え路線バスを利用しようと思うと、申し訳程度のバスの本数に悩まされる時が相当多い。反01系統もその類なのかと一瞬身構えるも、8〜12分おきに便が設定されていて、時刻を調べる必要すらない利便性の高さに胸を撫で下ろした。
始発や主要中継地点で、それなりに長い待機時間を設けているのが東急バスの特徴の一つと言える。平日の午前中に現地へ赴いたところ、反01系統も例に漏れず、発車時刻の10分ほど前から入線して待っていた。
都会の路線バスによくある、前乗り・後ろ降りの運賃先払い方式で、乗車時に行き先を聞かれる。ほとんどの路線が220円で統一されている中、反01系統は東急バスでも超珍しい運賃変動型だ。
反01のほかに運賃が変わる路線は青55系統だけである。五反田から川崎まで通し乗車をした場合、反01系統は東急バスで最も高額な運賃の路線になる。
とはいえ50円増しの270円だが……。車内アナウンスに耳を傾けると、その50円分を「川崎運賃」と呼んでいた。