ついに2気筒時代が到来!? ダウンサイジングエンジンの究極とは!?

 環境性能が重視される軽自動車やコンパクトカーのエンジンは3気筒が常識となっており、そのカバーする排気量もどんどん拡大し、1.5L(リッター)モデルまでカバーするようになった。

 輸入車でもBMWはコンパクトクラスに1.5L 3気筒を搭載してきている。そのほかのメーカーも1~1.2Lはほとんどが3気筒だ。

 となると、次はダウンサイジングエンジンに2気筒の時代が来るのだろうか? 昔の360cc軽自動車はほとんど2気筒だったし、バイクでは珍しくないエンジン形式だ。

 乗用車用2気筒エンジンの可能性について、鈴木直也氏に聞いた。

文:鈴木直也/写真:TOYOTA、FIAT、Volkswagen

【画像ギャラリー】ダウンサイジングエンジンの革新は『2気筒化』にあり!?


■新型ヤリスの3気筒エンジンが好評 新たな業界標準の誕生か?

新型ヤリスに採用されたM15Aエンジン。兄貴分である4気筒M20Aのシリンダーをひとつ減らして1.5Lとしている

 新型ヤリスでデビューしたトヨタの1.5L 3気筒エンジンの評判がやたらにいい。

 ハイブリッド仕様は燃費も走りも「ひと皮向けた」と絶賛されているし、標準仕様も3気筒のネガを感じさせないスムーズなドライバビリティが好評だ。

 トヨタが本格的に3気筒化に踏み出した以上、もう1.5L以下クラスはそれが標準になるんじゃないか。業界ではそう予想されている。

 M15Aと呼ばれるこのエンジンは、RAV4の2L 4気筒(M20A)の弟分で、80.5mm×97.6mmのボア・ストロークは2L仕様と共通。4つあったシリンダーをひとつ減らして1.5Lとしたものだ。

 最近のエンジンのトレンドは、ダウンサイズとモジュール化だけれど、まさにその見本ともいうべき存在といえる。

■エンジンのさらなるコンパクト化! 『2気筒』の可能性を探る

ダイハツ製1KR-FEエンジンは、同じくダイハツが製造するパッソにも搭載されている

 となると、素人考えでつい提案してみたくなるのが「もうひとつシリンダーを減らして、1L 2気筒もアリなのでは?」という発想だ。ヤリスには1L版もあって、それにはダイハツ製3気筒(1KR-FE)が搭載されているが、新型のMシリーズで統一するという考えも悪くないのでは? というわけ。

 しかし、この2気筒化というアイディア、理論的にはアリとしても商品性の確保はそうとう難しそうだ。

 まず、廉価版という位置付けだとターボなどの飛び道具が使えないから、性能的に現状の3気筒と差がつけにくい。また、2気筒化するとバランサーをつけても一次振動が相当大きくなる上、低速域ではトルク変動も気になってくる。

 小型軽量で理論上は燃費効率も優れるが、アイドリングや発進時にブルブルしちゃうのでは、一般ユーザー向けとしては厳しい。その辺にに大きな壁があるのだ。

■2気筒化を阻む騒音と振動 ハイブリッド化で実用化可能!?

ダウンサイジングエンジンの2気筒化は、騒音と振動への対策と新たなハイブリッドPUの登場がカギとなる

 商品化が難しいという意味では、ダイハツが2009年東京モーターショーに展示したミラ・イースのコンセプトモデルがいい例だ。

 燃費競争が激しかったこの当時、効率面で有利な2気筒案も検討されていたが、騒音/振動問題で商品化を断念。ダイハツは2011年のモーターショーではコペンのプロト用にもこのエンジンの進化版を載せてきたが、やはりそれも商品化には至らなかった。

 現状、普通乗用車で2気筒エンジンを搭載している例は、フィアット500ツインエア(900ccターボ85ps/14.8kgm)くらいだが、じつはフィアット500の場合2気筒の方が4気筒より高級バージョンという珍しい設定。1.2L 4気筒NA「1.2Pop」の方が40万円も安い。

ィアット500に採用されている直列2気筒900ccのターボエンジン「ツインエア」

 つまり、フィアット500くらい「遊びゴコロ」のあるクルマで、なおかつ2気筒エンジンの音や振動を「味として楽しむ余裕」がないと、乗用車に2気筒エンジンは難しいというのが現状といえそうだ。

 まぁ、もっともっと燃費規制が厳しくなってきたら、あるいは2気筒ハイブリッドなんてパワーユニットが登場するかもしれない。燃費リッター100kmを目指したVWの少量生産モデル「XL1」は、2気筒ターボディーゼルのプラグインハイブリッドだったし。

 そういう例外を除くと、やっぱり常識的には乗用車エンジンの気筒数は3気筒が下限と考えてよいのではないだろうか。

2013年に限定販売されたフォルクスワーゲンXL1。800ccの2気筒ターボディーゼルエンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド

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