■拡大のブレーキは縮小が強まる国内専売車か
拡大路線と思われるSUVだが、既に国内専売車は、ダイハツとの共同開発車「ライズ」のみ。先代が国内専用車であった新型ハリアーも、ヴェンザの名で北米へ進出が決定。登場目前となったヤリスクロスも世界戦略車である。
若返りが話題となった新型カローラも、国内向けカスタマイズを加えるものの、基本的な部分は世界共通開発されたもの。今後の車種の多彩さは、グローバル戦略に掛かっているといっても過言ではないのだ。
将来的には、全カテゴリーで国内専売車は、ダイハツとの共同開発車に加え、より厳選された車種へと限定されていくだろう。
■さらなる車種増は!?
ほぼフルライン化を達成したトヨタSUVだが、その人気の裏には、セダンやミニバンなど他のカテゴリーモデルの販売減が当然ある。
また電動車の戦略を見ても、EVでも過剰な特別感よりも、ユーザーの意識的な敷居を下げるために、エンジン車との差別化を限定化する流れも見受けられる。この結果、プリウスなどハイブリッド専用車も新たな局面に立たされる。
現に、プリウスやアクアといった人気車でさえ、その未来については、様々な見方がある。
SUVに限定すれば、目下の注目は、ヤリスクロスと近いタイミングで発表されたカローラクロスの存在だろう。この2台はサイズだけでなく、プラットフォームも一クラス異なる。
ただヤリスクロスが、日本に引き続き、2021年半ばの欧州展開が予定される一方、カローラクロスは、タイを皮切りに、新興国を中心に展開される様だ。このため、サイズ的には、日本でも需要はあると思われるが、顧客のターゲット層が異なるため、日本への導入はないと見てもいい。
今後の展開としては、世界的な本格クロカン人気を受けて、ランドクルーザーシリーズがどう攻めるかだろう。世界ではライバルとなるGクラスも、大幅アップデートを受けただけに、この機になるところだ。
全体では、既存モデルのフルモデルチェンジや派生車の投入が中心となり、全車種扱いの動きから、車種の統廃合が進むため、全体的には減少させていくだろう。
コロナ下でも、揺るがない経営状況を示したトヨタ。流行りとはいえ、SUV市場に果敢に挑めるのは、その母体の強さが故。まさにトヨタの底力を見せつけられたという思いだ。
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