路線変更か、モデル廃止か…「今年が勝負」のクルマ8台

■大幅値下げでシェア獲得なるか「テスラ・モデル3」

イッキにお得感が増したテスラ・モデル3。イイネ!
イッキにお得感が増したテスラ・モデル3。イイネ!

 テスラは日本市場をあまり重視していない印象だったけれど、そんなこととは無関係に、今回のモデル3の大幅値下げには驚嘆した。中間グレードのロングレンジAWDでなんと156万円の値下げ!

 テスラ・モデル3の値下げは、日本向けの製品が中国工場製に切り替わったことに伴うもので、中国、欧州に続く既定路線のようだけれど、いざ実際に実行されると、衝撃はケタはずれだ。これでモデル3の売れゆきはどう変化するのか? 爆売れするのか? それともやっぱり保守的な日本市場ではそうでもないのか? テスラにとっての勝負の年というより、日本という国が試されている気がする。

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■水素社会実現の鍵を握る「トヨタ・MIRAI」

クルマの評判は上々だが、価格・サイズ感が大衆向けではないMIRAI。今年が勝負
クルマの評判は上々だが、価格・サイズ感が大衆向けではないMIRAI。今年が勝負

 MIRAIは今年が勝負だ。水素ステーションの数は、全国で約140カ所に留まる。給油所の3万カ所に比べて大幅に少ない。従って販売は低調で、先代型の1年間の登録台数は1000台以下だ。これではMIRAIの存在感は次第に薄れる。販売促進ではなく認知向上のために、イベントなどを行いたい。

 カーオーディオのマニアも重要な顧客だ。新型MIRAIの車内は抜群に静かだから、音響性能をさらに高めた特別仕様車を設定する。ZにはJBLプレミアムサウンドシステムが用意されるので、制振材や吸音材も加えて、最良のオーディオ空間に仕上げたモデルを発売したい。

■すっかり影が薄くなった「ホンダ・ステップワゴン」

ステップワゴンは今年盛り返せなかったら、方向転換したほうがよさそうだ。とにかく最近影が薄い。がんばれステップワゴン
ステップワゴンは今年盛り返せなかったら、方向転換したほうがよさそうだ。とにかく最近影が薄い。がんばれステップワゴン

 ステップワゴンは存続の危機にある。’20年の登録台数は1カ月平均で2870台だから、ライバル車となるセレナやヴォクシーの半数だ。また’96年登場の初代ステップワゴンや’01年の2代目は、発売直後に1カ月で約9100台を登録した。今は当時の約30%だ。ミニバンは日本向けの商品だから、低迷が続くと車種の廃止もあり得る。

 ステップワゴンのハイブリッドは価格が340万円以上と高いから、今後は1・5Lターボに力を入れる。SUV風のクロスターを加えて、標準ボディのGと同等の270万円前後で発売する。スパーダにも同価格のグレードを用意して、出費にシビアな奥様層に直接訴求してはどうか。

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■日本市場では鳴かず飛ばず「マツダ・MAZDA3」

改良でかなりよくなったマツダ3。もう見た目だけとは言わせない! 今年が勝負だ。目指せ月販5000台……さすがに無理か?
改良でかなりよくなったマツダ3。もう見た目だけとは言わせない! 今年が勝負だ。目指せ月販5000台……さすがに無理か?

 見た目はオシャレなのに走るといろいろいたらない点があって、海外での評価とは裏腹に日本での評判はいまひとつ。SKYACTIV─Xも価格の高さがネックで売れゆきは伸び悩んでいる。そこに送り出された改良版がなかなかの力作だ。走りは大幅に洗練されて、制御が粗削りで速度標識の誤認などバグも見られたADASもずいぶん改良された。このよさをちゃんと周知させることがまず大事。

 マツダの頻繁な改良はかえって買い控えを呼んでいる感もなきにしもあらず。このほど無償アップデートが始まったのは画期的。これで上手くいかないわけがない!?

■ヤリスに負けてはダメだ「ホンダ・フィット」

本当のライバルはヤリスではなくN-BOXな気がするフィット。今年は勝負だ! 
本当のライバルはヤリスではなくN-BOXな気がするフィット。今年は勝負だ! 

 クルマとしての完成度は申し分ないのに、かつての勢いが感じられない。ほのぼのしたデザインもどうやらあまり受けていない感がある。ホンダセンシングだって、レーダーが廃されたことが指摘されがちだけど、機能としてはずっと従来よりも充実している。退化ではなく進化したことをちゃんと世に理解してもらわないといけない。

 とにかく持ち前の強みである「心地よさ」をもっと正しく知ってもらうことが大事だ。さらには待望の走り系モデルが追加との情報も。そのあたりもネタにして多くの人に興味を持ってもらって、ぜひ巻き返しを図りたいところだ。

※ ※ ※

 ピンチはチャンスでもある。各車とも、今年は死に物狂いでがんばってほしい。

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 「今年が勝負のクルマ」は3月10日発売『ベストカー』(2021年4月10日号)からの転載です。雑誌には、取り上げた8台のうちテスラ・モデル3を除く7台の過去5年販売実績の一覧表を掲載しています。販売が絶好調のN-BOXに視点を置いてホンダを俯瞰した辛口コラムも。雑誌もお楽しみいただけますと幸いです。

 2021年4月10日号では、ほかにも気になる記事が盛りだくさん。スクープ「真実はどれだ!? 1.5Lターボ説も!!次期型シビックタイプR最新情報」をはじめ、集中BIG特集「電動化待ったなし!なくなる前に絶対に乗っておきたい純エンジン車 官能と昂りの咆哮!」や、東日本大震災から10年の節目に地震大国・日本で選ぶべきクルマと備えについて指南する「10年前のあの日の教え 家電が使えるという安心 給電できるクルマ」、人気連載「テリー伊藤のお笑い自動車研究所」など幅広い世代が楽しめる読み物を掲載しています。

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