北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。第9回は、エゾシマリスです。
日本に棲むシマリスの固有種は、北海道に生息するエゾシマリスだけです。本州以南でも山でシマリスを見かけることがあるようですが、それはペットとして日本に移入されて野生化したチョウセンシマリスなんです。
見た目のかわいらしさは、道産子野生動物のなかで群を抜いているので、人気が高く、さまざまなお土産グッズのモチーフにもなっています。
このリスの特徴である頬袋にパンパンにエサを詰めた姿はなんとも愛嬌があります。ぜひお楽しみください。
写真・文/佐藤圭
1年の半分以上寝て暮らします
背中の縞模様が特徴のエゾシマリスは、ディズニーキャラクターにもなっているので、知名度が高く、人気の動物です。
エゾシマリスは、北海道全域、利尻、礼文などの島にも生息していますが、僕は、主に大雪山系の山で撮影することが多いです。街中の公園で見かけることもありますが、生活環境が厳しい高山にも生息しています。環境への順応力が優れているんですね。
食事は、植物の実や種子、昆虫などを食べる雑食です。
エゾシマリスの面白いところは、エサを集める貯食行動ではないでしょうか。エサを見つけるとすぐには食べず、口の中の頬袋に詰め込み、安全な場所に運んでから食べます。また、木の実など保存のきくエサは、一旦地面に埋めて後から掘り出して食べることもします。
埋めた木の実は、エゾリスやネズミに食べられてしまったり、埋めた場所を忘れてしまい、春になって芽を出すなんてこともよくあるようで、ちょっとまぬけなところもありますが、その行動が森の育成に繋がっているので、北海道の自然に大いに貢献しているのです。
頬袋いっぱいに食べ物を詰め込んでパンパンになった顔は、本当に可愛いです。他のリス科の仲間のエゾリスやニホンリスは頬袋にエサを貯めることはありません。不思議な生態なのです。
もう一つ、エゾリス、ニホンリスとの生態の違いは、冬眠をすることです。エサをいっぱいに集めた巣で、秋から春まで1年の半分以上眠っています。といっても、ずーっと寝ているわけではなく、たまに起きてエサを食べ、ウンチもしているようです。
4月に入ったので、そろそろ起き出してくる頃です。山で再会するのが楽しみでなりません。
佐藤 圭 Kei Satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。フランスのアウトドアブランド「MILLET」のアドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
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