車いすにドッキングして動力源にすることも視野
一方で挙動がクイックすぎる面も。外乱や路面の凹凸で前輪が急に切れ込む場面がある。しかし、これは仕方ない一面もあるようだ。WUSAは電動バイクとして楽しめるだけでなく、既存の手動車いすにアタッチメントを介して連結できるのがコンセプト。ホイール径を大きくすれば解決するだろうが、車体が大柄になってしまい、コンセプトに沿わなくなるからだ。
とはいえ、こうした側面も「乗りこなしてみたい」と思えるほど楽しい。童心に戻ってワクワクできる、大人の遊び道具だ。
こうしたチャレンジングなアイデアを具現化できるのも自社内にファクトリーがあるRDSの強み。同社のモノづくりのメリットを最大限に生かしている。
量産に関してのメドは立っており、アライアンスパートナーを組んで製作していくという。
ユニークなアイデアで社会の課題を解決したい
「社会課題を面白く解消したいんです」とRDS代表の杉原行里さんは話す。
WUSAもその一環で、誰でも乗れる移動手段を目指して開発した。“誰でも”の中には車いすユーザーも含まれており、WUSAを連結することで車いすを電動モビリティ化できる。徒歩とクルマの中間に位置する、気軽な移動ツールとなるのだ。
RDSは、これまでも世の中の課題に対し、ユニークな手法を提示してきた。
ドライカーボンで約310gという驚きの軽量化を実現した世界最軽量の松葉杖をはじめ、ロボット・AI化された測定解析システムで最適な座位姿勢を素早く体験できる競技用車いす、日常の走行性能と非常時の防災性能を兼備した幼児用カートなど、実に多様だ。
小さいウサギが未来を変えるかもしれない
杉原さんが社会課題の解決に関心を持つようになったのは、「みんなで楽しくワイワイやりたい」という明快な思いが根底にあるからだ。
「例えば、車いすの方が乗れない乗り物があったとします。みんながワイワイやっていても、車いすの方は輪に入りにくいですよね。それなら“技術とアイデアで車いすの方も乗れるようにしちゃえ”と考えるタイプなんです」と杉原さん。
移動弱者、医療格差、高齢化etc……。車いすに限らず、今の日本には多くの社会課題が山積みだ。
「日本は、先進国で最初に様々な課題に直面しています。そう考えると、日本は最大の実証フィールドでもある。ここで生まれたソフト、プロダクト、サービスは、世界に横展開できるはず。今は当たり前になったスマートフォンも一昔前は常識ではなかったように、発想を転換して、常識ではないモノを当たり前にしたいんです」
さらに、社会課題を解決するには「眉間にシワを寄せていてはいいモノはできない」と話す。
「会議も同じで、眉間にシワを寄せていてもうまくいかないですよね(笑)。せめてワクワクするものを手掛けていきたい。でも本当は、“自分が乗りたいモノ、やりたいモノをつくりたいから”が一番の原動力ですね」と笑った。
WUSAがエキサイティングな乗り物に仕上がっているのは、まさに杉原さんのコンセプトどおり。多くの人が、より生きやすい世の中となり、しかも楽しめる。20~30年後にWUSAのような乗り物が当たり前になっていたら、うれしい。
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