40年経っても新型不在!! 実は復活計画があった!? 新型モトコンポはなぜ生まれないのか

 バイクとクルマを両方手がけているホンダならではの優れたコンセプトだったモトコンポ。エンジン車を折りたたんでクルマに搭載するためには、通常モデル以上に燃料などの液漏れ対策が必要で密閉式タンクキャップなどが装備されていた。

 そして今は電動バイクの時代に入りつつある状況で、もっと簡単に車載バイクが開発ができそうに思える。実際ベンチャー企業発の折り畳み可能なEVが話題になっており、ホンダなど老舗メーカーからも次の一手があってもよさそうだ。

 なぜそれが難しいのか? かつてのモトコンポなどのエピソードなどを踏まえて解説していきたい。

文/市本行平、写真/市本行平、HONDA、YAMAHA、glafit

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■2輪と4輪の足し算を掛け算にするシティとモトコンポのコンセプト

バイクブーム絶頂期に生み出された新種がモトコンポ。トランクバイクというホンダの強みをフルに発揮した世界で初めての試みでもあった

 1981年にシティと同時に発売されたモトコンポは、シティのトランクにすっぽり収まるサイズの50ccモデル。シティ搭載用として同時開発されたもので「トランクバイク」というこれまでにない新しいコンセプトが大きな話題になった。

トランクにバイクを積むことを前提に開発されたクルマはそれまでになく、こういったインパクトのある提案にシティ×モトコンポの価値と新しさがあった

 モトコンポのパワートレインはロードパルSの2段オートマチックを採用し、難しい操作を必要とせずにバイクの楽しさや便利さをより多くの人に知ってもらうことも意図されている。

 ホンダ社内にはモトコンポ以前から”6輪生活”という言葉があり、2輪と4輪を合わせて使うことでより豊かな生活が送れるという考えが底流にある。それは1967年のモンキーZ50Mに始まり、1969年のダックスホンダもクルマに搭載できるよう折り畳み式のハンドルや密閉式の燃料キャップなどを備えていたのだ。

ホンダシティはトールボーイという車高を上げたスタイルによってコンパクトさと居住性を両立したFFモデル。東京地区で60万円~80万円で発売された

 モトコンポが新しかった点はこれまでの6輪生活の考えを推し進め、車載することを前提に企画されたことにあるだろう。ホンダは「四輪に二輪を搭載して行動することにより、バイクの機能とクルマの機能が掛け算的に広がる」と提唱しており、新しい使い勝手を生み出すことを目指していた。

■大ヒットしたシティに対してモトコンポは振るわず一代限りで終了

モトコンポのカタログでもシティはセットで登場。CMではムカデダンスの後にシティとモトコンポが同時に映し出されるカットが挿入されていた

 「ホンダ、ホンダ、ホンダ、ホンダ、シティ!」というリズミカルな音楽とコミカルなムカデダンスのCMでシティの注目度は抜群。1981年11月の発売以来、約2年間で15万台を販売、ピーク時には月販1万6000台を記録した。

 基本グレードのほかにやターボやハイルーフ仕様など次々にバリエーションが広がり、初代シティは1986年まで継続された。

6輪生活コンセプトの元祖、1967年のモンキーZ50M。折り畳み式のハンドルやシート、液漏れ防止の燃料キャップなどモトコンポの源流がここにある

 一方、モトコンポはシティのCM効果とは裏腹にセールスは芳しくなく、一代限りで終了した。

 当時、シティにはモトコンポがセットで付いてくると思った人が多く、8万円というモトコンポの価格はベースとなったロードパルSの7万3000円と比較しても決して高くはなかったが、別売りと分かると断念する例がほとんどだったという。

1969年のダックスホンダ。これをセダンのトランクに積み込もうとすると一人では大変だった。「やってみよう!」と思える気軽さはモトコンポの方が上

 CMの効果もあってモトコンポの認知度は高く、販売終了後に人気漫画連載に登場したり、現在に至っても愛好者の多い記憶に残るモデルになっている。

 その意味ではシティよりも長期的にホンダのイメージアップに貢献している訳だが、販売面で振るわなかったのは1980年代においてもコンセプトが時代を先取りしすぎていたと考えられる。

 1967年のモンキー以来、伝統的にホンダにあった6輪生活志向は決して実を結んでいた訳ではなく、モンキーやダックスをクルマに積んでレジャーに使用していた人は極少数だったという。

■こいつ…走るぞ! 2011年のモーターコンポはなぜ出ない?

まさにモトコンポがEVでリバイバルしたモーターコンポ。ハンドルも折り畳んで収納できるようになっている。メーターはスマートフォンを利用する

 ホンダのすごいところはブレずに継続することにある。モトコンポから30年を経て2011年の東京モーターショーには、EV版の「モーターコンポ」をコンセプト出品したのだ。

モーターコンポは走ること以外にも携帯用電源として戸外だけでなく屋内での使用も想定。同時出品された電動車にもすっぽり収まるサイズとしている

 今度のコンポは天地無用気にせず車載できてアウトドアでの電源としても活用できる。EVでこそモトコンポのコンセプトはより生きるものと感じさせる展示で、ショー演出用としてステージ上での走行も可能だった。

 しかし、モーターコンポでも発売するにはまだ時代を先取りしすぎていると言えそうだ。モーターコンポはバッテリー搭載スペースが限られており、進化したとは言え現行の「ホンダモバイルパワーパック」を収めることが難しい。

2005年にヤマハも車載を想定した折り畳みできる電動のEC-02を発売。年間3000台ほど販売し可能性を示した。バッテリーの信頼性と性能が向上すれば再び登場も!?

 2015年の東京モーターショーで発表されたEVカブコンセプトも2018年に発売されることがアナウンスされていたが、バッテリー搭載スペースが限られていたために見送られた経緯もある。

 逆に言えばバッテリーの小型&高性能化と低価格化が実現すれば、コンセプトメイクが定まっているモーターコンポも期待できるということだ。

■兆しはある! グラフィットの折り畳み可能なハイブリッドバイクが人気に

新型のGFR-02。ナンバーを取得する原付1種の乗り物だ。2021年夏にはバイクの電源を切りナンバープレートを覆った時には法的に自転車として使用可能になる「モビチェン」が用意される

 2017年にクラウドファンディングで1億2800万円の資金を集め、「バイブリッドバイク」と呼ばれる原付1種のGFR-01を発売したグラフィット(glafit)が注目されている。

 同社は次世代の乗り物メーカーを目指す和歌山県のモビリティベンチャー企業で、折り畳み自転車にペダル×電力のアシストモードとEV機構を加えた新しいコンセプトを提唱した。

原付1種でも折り畳み機能は健在。バッテリーはフレームを畳むと抜き出せるようになっており3時間半で充電可能。最高速は30km/h、航続距離は25kmだ

 これがネット上で多くの支持を集めて資金を獲得し、事業開始1期目で売上高約3億3000万円、販売台数約3000台を達成。ハイブリッドバイクで新たな市場を切り開いたのだ。そしてこの2月1日には、改良型のGFR-02の予約販売をスタートした。

GFR-02はトランクバイクとしても優秀。二人の方が楽しさが掛け算的に広がるだろう。グラフィットは2019年にはヤマハと資本業務提携を締結している

 グラフィットのGFR-02は、折り畳むと全長650mm×全幅450mm×全高600mmのサイズになる。重さは自転車程度なのでクルマに積むことも容易だ。

 車載してアウトドアでの使用も想定されており、釣り場でのポイント間の移動で使用する雑誌特集も見受けられた。また、コンパクトなことから乗用車でも2台程度積むことができるので、出先で仲間と楽しめるのもグラフィットならではのメリットだ。

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