菅首相が10月の所信表明で打ち出した温暖化ガスの排出を2050年までに実質ゼロにする方針で、今後バイクも電動化に舵を切ることになるのだろうか? 自動車では「遅くとも2030年代半ばまでに、乗用車新車販売で電動車100%を実現」と戦略に明記されており、自動車業界は対応に迫られている。
自動車と同じ内燃機関を使用し二酸化炭素を排出するバイクが、この政府の大方針から除外されるとは考えにくく、本誌の取材では今後規制の対象になりそうな流れが見えてきている。その詳細と、現在の二輪の取り組みをお知らせしたい。
文/市本行平、写真/HONDA、YAMAHA、KAWASAKI、日本自動車工業会
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「全ての領域で聖域なくやっていく」と方針を打ち出した自動車工業会
12月に入って新聞やニュースで2030年代半ばまでにガソリン車ゼロなどと衝撃的な報道が目立つようになったのは、温暖化ガスの排出を2050年までに実質ゼロにするための政策のひとつに乗用車がターゲットになったことが明確になったためだ。
12月25日には、政府が発表した「グリーン成長戦略」に「遅くとも 2030 年代半ばまでに、乗用車新車販売で電動車100%を実現できるよう包括的な措置を講じる。商用車についても、乗用車に準じて 2021 年夏までに検討を進める」と明記されている。
これに二輪車は含まれていないのでセーフ、という訳ではない。本誌が経済産業省自動車課に問い合わせたところ、担当者から「二輪車も含めて検討中、除外はしていない」との答えが返ってきた。今回発表された戦略に二輪車は含まれなかったが、商用車と同様に2021年夏までに方針が決められるだろう。
また、これを裏付けるように日本自動車工業会・環境技術政策委員長の三部敏宏氏(ホンダ専務)は「商用車や二輪の領域も置いてきぼりという訳にはいかないので、全ての領域で聖域なく今後徐々にカーボンニュートラルに向けて進んでいくことになると思う」と語っている。
実際に聖域はないようで、日本国民の足として幅広く定着している軽自動車も2030年代半ばまでに電動化する方針に含まれている。コスト的にもスペース的にも制約が多い軽自動車をあと15年で100%電動化するのは相当なスピード感が必要だろうが、販売台数の3割を占める軽自動車が例外になることはなかった。
ただし、バイクについては年間でも新車販売台数は自動車の1か月分よりも少ない36万台ほどで、そのうち50ccの原付が36%(ともに2019年)を占めているため電動化をどんなに頑張っても効果は限定的。それでも進めるだろうか?
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