キテレツな発想が仇となった!? 鳴り物入りで登場したあのクルマの不人気のワケ

タイミングを逸した夢の軽ピュアスポーツ「マツダ・AZ-1」

キテレツな発想が仇となった!? ああ残念! 鳴り物入りで登場したあのクルマの不人気のワケ
フロントマスクがランボルギーニ ミウラになんとなく似ているという噂も。マニアックなファンの多いクルマだった

 鳴り物入りで登場したと言われて多くの人が真っ先に思い浮かべるだろうクルマのひとつがマツダ・AZ-1のはずだ。AZ-1は、今はなき販売チャンネルであるオートザムから発売され、同期時に販売されていたホンダ・ビート、スズキ・カプチーノとともに「平成ABCトリオ」と称されていた。

 話題となったのは、ガルウイングドア。セラよりも遅れての採用とはなったものの、軽自動車としては前代未聞のシステムだった。横転時の脱出時が困難であるという指摘をクリアするため、マツダが独自に実証実験を行って安全性を証明し、その結果、認証を得るに至ったというほどの気合いの入れようだった。

 もちろん、64psを発生する直列3気筒DOHCターボをミッドに搭載し、走行性能も申し分なし。「見た目だけじゃない、走りだって本格的な軽カーを作るぜ!」という挑戦者マツダの心意気を感じさせる一台だった。

 しかし、なにせ発売時期が悪かった! ビートが1991年5月、カプチーノが1991年10月だったのに対し、AZ-1は1992年10月。この1年の遅れが命取りに……。バブルの崩壊は1991年3月からと定義されているものの、ビートやカプチーノが登場した頃はまだバブルの残り火がくすぶっている頃でもあり、スタートダッシュは好調だった。しかし、AZ-1が登場した頃には日本経済はどん底に……。

 国民の消費意欲は急速に低下し、趣味性の高いクルマを購入しようという消費者が激減していた時期だった。実際、ビートの総販売台数は3万3892台、カプチーノは2万6583台に対し、AZ-1は4409台、OEM供給された姉妹車、スズキ・キャラを含めても5000台弱と、平成ABCトリオのなかでもダントツに凹んでいる。

 最終的に、販売期間は1992年10月から1995年9月と、たったの3年。キャラも同年12月にひっそりと生産終了している。ただし、現在はそのタマ数の少なさもあり、150万~160万円という新車価格の倍以上のプレミアがつくものもあるくらい、中古車市場ではお宝モデルとして珍重されている。

NXクーペの呪いか!? イケイケ兄ちゃんたちの支持を得られず!「日産・ルキノ」

キテレツな発想が仇となった!? ああ残念! 鳴り物入りで登場したあのクルマの不人気のワケ
コスパは申し分なし、、スタイルもそこそこだったが、若者の心はつかめなかった。ちょっと優等生すぎたのか!?

 「あ~そういえば、あったよね~」と、その存在をすっかり忘れてしまってい人も多いだろうクルマが日産・ルキノ。しかしデビュー当時は、イケイケだったロン毛の江口洋介をCMに起用するなど、若者をターゲットにした2ドアクーペとして、日産がかなり力を入れてリリースした、ある意味鳴り物入りのクルマだったのだ。クーペに少し遅れて、ハッチバックや5ドア(SR-V)も発売された。

 デビューは1994年5月。ベースはクーペが8代目サニー、ハッチバックとSR-Vはパルサーセリエがベースだった。燃費が良い、価格もベースグレードであれば100万円を切るというお財布にやさしいルキノは、「クルマは欲しい、でもお金が」という若者にとっては魅力満点なクルマだったはずだが……。

 不人気の原因のひとつとして考えられるのが、1990年1月に登場し、個性的なフロントマスクが話題となった3ドアハッチバッククーペ、NXクーペ。こちらは7代目ではあるが同じサニーをベースに開発されたクルマで、約4年の総販売台数は1万5151台と大苦戦のまま、生産終了となった日産の歴史的惨敗車のひとつ。

 その悪い流れのままバトンを受け継いだのがルキノだったのだ。NXクーペがセクレタリーカーとして女性をメインターゲットにしていたが、ルキノは20代の若者。リベンジが期待されていたものの、NXクーペ同様にメインターゲットからの支持を得ることはできなかった。

 さらに悪いことに、本丸の8代目サニーの販売状況も芳しくなく、ルキノもそのあおりをくったというのも、不人気となってしまった原因のひつと言えるだろう。さらに、ハッチバックはもろパルサーで、差別化が図れなかったというところも難点だった。

 最後まで浮上の兆しは見えず、クーペは1999年4月、ハッチバックは1999年4月、SR-Vは2000年8月に生産終了となった。

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