NXクーペの呪いか!? イケイケ兄ちゃんたちの支持を得られず!「日産・ルキノ」
「あ~そういえば、あったよね~」と、その存在をすっかり忘れてしまってい人も多いだろうクルマが日産・ルキノ。しかしデビュー当時は、イケイケだったロン毛の江口洋介をCMに起用するなど、若者をターゲットにした2ドアクーペとして、日産がかなり力を入れてリリースした、ある意味鳴り物入りのクルマだったのだ。クーペに少し遅れて、ハッチバックや5ドア(SR-V)も発売された。
デビューは1994年5月。ベースはクーペが8代目サニー、ハッチバックとSR-Vはパルサーセリエがベースだった。燃費が良い、価格もベースグレードであれば100万円を切るというお財布にやさしいルキノは、「クルマは欲しい、でもお金が」という若者にとっては魅力満点なクルマだったはずだが……。
不人気の原因のひとつとして考えられるのが、1990年1月に登場し、個性的なフロントマスクが話題となった3ドアハッチバッククーペ、NXクーペ。こちらは7代目ではあるが同じサニーをベースに開発されたクルマで、約4年の総販売台数は1万5151台と大苦戦のまま、生産終了となった日産の歴史的惨敗車のひとつ。
その悪い流れのままバトンを受け継いだのがルキノだったのだ。NXクーペがセクレタリーカーとして女性をメインターゲットにしていたが、ルキノは20代の若者。リベンジが期待されていたものの、NXクーペ同様にメインターゲットからの支持を得ることはできなかった。
さらに悪いことに、本丸の8代目サニーの販売状況も芳しくなく、ルキノもそのあおりをくったというのも、不人気となってしまった原因のひつと言えるだろう。さらに、ハッチバックはもろパルサーで、差別化が図れなかったというところも難点だった。
最後まで浮上の兆しは見えず、クーペは1999年4月、ハッチバックは1999年4月、SR-Vは2000年8月に生産終了となった。
先代が偉大すぎたゆえの迷走&伸び悩みに苦しんだ「マークX」
2004年11月、ミドルサイズセダン、マークIIの後継車種として登場したのがマークXだ。マークIIの最終型、9代目の販売台数は落ち込んでいたものの、それでもマークIIの名は偉大。「あんな名車をなぜ消滅させちゃうの!?」と当時は大騒ぎだった。
初代は、クラウンと同じ3リッターと2.5リッターのGR系V型6気筒DOHCエンジンを搭載、シャシーもクラウンと同様のものが採用された。車格的にはマークIIよりもグレードアップしたかたちだ。当初の販売台数は月に2500~3500台程度と、セダンとしてはかなりの合格点だった。
しかし、徐々に販売台数は減り始め、2009年10月にデビューした2代目では、マークII時代のスポーティグレードであるツアラーシリーズに相当するスポーツタイプの他に、G’s、GR SPORT、6速MT、AT設定なしのGRMNを発売するなど、走りを追求したグレードでテコ入れを図ったりしたものの、先代を凌駕するほどの販売台数には至らず。
これといった明確な失敗の原因が見当たらないと思われるマークXだが、クラウンのユーザー層と被ることになったうえ、クラウンもアスリートなどのスポーツ仕様を発表したことで、ますますクラウンとの差別化が図れなくなり、ユーザーが混乱したという可能性も。
さらに追い打ちをかけるようにレクサスブランドも登場し、他モデルにはハイブリッドなどが追加されるなどの動きがあったにもかかわらず、マークXにはそういった動きはなし。このように、販売台数の伸びが期待できる動きがゼロに近い状態になったことも生産終了に追い込まれた原因と考えられる。
そして遂に、2019年12月23日、1968年から続いたマークIIの血統は途絶えることとなった。