「昔はこうだったのに、今は何でこうなっちゃっうの?」。古き良きものを懐かしみ愛好するオールドファンにとって、イマドキのクルマは少々魅力に欠けるところがあるのかもしれない。
しかし、よ~く調べてみると、良くも悪くも“らしくない”ことがそのクルマの魅力に直結していたりすることも! “らしくないこと”をどのように捉えるか、信じるか信じないかはあなた次第?
文/FK、写真/日産、トヨタ、ホンダ、マツダ
スカイラインはグランドツーリングカーからプレミアムスポーツセダンへ
1957年4月の登場以来、日産を代表するグランドツーリングカーとして多くのファンを虜にしてきたスカイラインだが、2001年6月のフルモデルチェンジで登場した11代目V35型で路線変更に踏み切ったことは当時、賛否両論を呼んだ。
翌2002年から行われる北米での販売を見据えたフルモデルチェンジで、エンジンはスカイラインのDNAとも言える直6からV6へ移行。ショートオーバーハングと大径タイヤの採用でスポーティさを打ち出したエクステリアも、それまでの直線基調なものから曲線を多用したものに様変わりした。歴代モデルの概念を変える21世紀のプレミアムスポーツセダンへと進化したことは間違いなかったが……。
その後、2006年11月のフルモデルチェンジを経て、2013年11月に現行の13代目V37型が登場。その際にインフィニティの開発で培った技術力&デザイン力の証としてインフィニティバッジを採用するも、これまたオールドファンをがっかりさせる結果に。
しかし、2019年9月のマイナーチェンジで日産バッジの復活ととともにスカイライン史上最高の400psを超える最高出力を実現した400Rをラインナップし、徐々に“らしさ”を取り戻しつつあるスカイライン。開発中止・生産終了の噂もあるが、果たして?
今までにないアプローチで鼓動デザインの新たな方向性を示すMX-30
“魂動-SOUL of MOTION”の哲学のもと、生命感あふれるダイナミックなデザインを採用して新しいブランドイメージを確立したマツダ。
魂動デザインが醸し出すエレガントで上質なスタイルはいまやマツダの代名詞となっているが、そのいっぽうで統一感のある現行モデルのラインナップはすべて同じように見えてしまうこともまた事実……。
しかし、2020年10月に登場したMX-30はセンターオープン式のフリースタイルドアの採用をはじめ、それまでの魂動デザインの流れとは少々異なる個性を感じずにはいられない1台に仕上げられている。なぜ、そのような個性を感じるのか?
例えば、シグネチャーウイング、五角形のフロントグリル、ボディのリフレクションによる光の移ろいといった鼓動デザインの象徴とも言うべきディテールがMX-30にはいっさい採用されていないことも要因のひとつだろう。
加えて、最新の魂動デザインで提唱する“要素をそぎ落とすことの美しさ”から、純粋に塊が印象に残るという1点にのみフォーカスを当てた力強くてシンプルな造形も見る者に新しい価値を気づかせてくれるだけの存在感を発揮している。
今までにないアプローチで魂動デザインの新たな方向性を示した結果が、“らしくない”につながっている。
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