RAV4とともにクロスオーバーSUV市場を盛り上げた「CR-V」
CR-Vは1995年、初代オデッセイに続いて「生活をより楽しく大きく豊かに広げていけるクルマ」を目指した「クリエイティブ・ムーバー=生活創造車」の第2弾として登場した。
車名の由来はComfortable(快適な)、Runabout(自由に走り回る)、Vehicle(乗り物)の頭文字を取ったもので、セダン同等の快適性能、ワゴン並みのユーティリティスペース、クロカン4WD車に匹敵する機動性のすべてを満すことを目指して作られた、なんとも贅沢なクロスオーバーSUVだった。
特に話題となったのは、ステッキ式のパーキングブレーキを採用することで実現したセンターウォークスルー。また、フルフラットにもできる多彩なシートアレンジも好評を博し、ライバルであるトヨタ RAV4とともにクロスオーバーSUV市場を盛り上げた。
その後、三度のフルモデルチェンジを行ったものの、初代の販売台数には遠く及ばず、2016年には日本での販売を終了した。
2022年で生産終了が予定されている現行型の5代目は、海外での発売より2年も遅れて国内に投入された。ハイブリッドモデルに加え、専用開発のターボチャージャーを採用した1.5リッター直列4気筒 直噴DOHCターボエンジンを搭載したガソリンモデルを設定、CR-Vで初となる7人乗り3列シート仕様も用意されるなど、力の入った一台だった。
しかし、巻き返しはならず! 日本自動車販売協会(以下自販連)の乗用車ブランド通称名別順位(軽自動車および海外ブランドを除く)によると、販売開始された2018年8月以降、上位50車種の中にいたCR-Vは翌2019年7月には圏外へと姿を消している。
CR-Vが生産終了すると、ホンダのSUVカテゴリーでの選択肢はヴェゼルのみとなってしまうのはなんともさみしいかぎりだ……。
絶妙なサイズ感で安定した人気を誇った「シャトル」
シャトルの大きな魅力は、5ナンバーサイズの扱いやすいサイズ感と最小回転半径4.9mという取り回しの良さ(現行プリウスの最小回転半径が5.1~5.4m)だ。それに加えて、ホンダの特許技術であるセンタータンクレイアウトによる広い車内空間と、リアシートを倒すことで最大荷室幅184㎝にもなるフラットな荷室など、スペースユーティリティの高さも魅力のひとつ。
ハイブリッド車のパワートレインには1.5リッターDOHC i-VTECと1モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-DCD」を採用し、マイナーチェンジ後の現行車ではカタログ値で34.4km/L(JC08モード)を記録するなど、燃費の面でも優れている。
現在ではステーションワゴンのシェアは、ミニバンやSUVに奪われているものの、シャトル自体の販売台数はそれほど悪いものではない。自販連の乗用車ブランド通称名別順位(軽自動車および海外ブランドを除く)でも2021年の通年で39位と上位50車種にランクインしている。
そんなシャトルが2022年に生産終了が予定されているのは、ホンダの2040年までにすべてのグローバルモデルの新車をEV、もしくは燃料電池車(FCV)化するという目標に向けての準備なのかもしれない。
今後、シャトルの後継となるモデルが登場する可能性も否定できないが、現状ではシャトルの代わりとなるモデルは見当たらず、シャトルの退場を惜しむ声も多く聞こえてくる。
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