スーパーマリン社とロールス・ロイス社
スピットファイアを生んだスーパーマリン社の起源となる会社は1913年に設立。第一次世界大戦下では単座戦闘機を試作していたが、軍からの受注には至らなかった。
同社は1916年にヒューバート・スコット・ペインに譲渡され、社名を「スーパーマリン・アヴィエーション・ワークス」社に変更。同年に開発した飛行艇が27機製造され、イギリス海軍に採用されている。
1917年には、先述したレジナルド・ジョセフ・ミッチェルが入社し、高速水上艇「Sシリーズ」などを開発した。
1928年には軍需企業ヴィッカーズ・アームストロング社の傘下に入り、社名を「スーパーマリン・アヴィエーション・ワークス(ヴィッカース)」社に変更。
1934年、イギリス空軍からの要請を受け、レジナルドを中心とした開発チームによって、単葉全金属製の引込脚機「タイプ300」を試作。これが後にスピットファイアと命名される。しかし、ミッチェルはこの開発途中からガンを患い、量産第1号機の完成を見ることなく1937年に42歳で死去している。
同社は、大戦後はジェット機なども製造していたが、1960年にブリストル社など、他の航空機メーカーとともにBACに統合され、スーパーマリンのブランド名は消滅した。BACとは、ブリティッシュ・エアロスペース社であり、超音速旅客機コンコルドの英国側の担当企業として知られる。現在は他社との統合し、BAEシステムズと社名が変更されている。
一方、ロールス・ロイス社は1906年、自動車メーカーとしてイギリスで設立された。1914年から航空機用エンジンの開発に着手している。
第二次大戦下でマーリン、グリフォンなどで成果を上げた同社は、航空機用エンジンメーカーとして不動の地位を確立した。しかし、1960年には経営難に陥り、1971年には国有化されている。
1973年には、「ロールス・ロイス・ホールディングス」社と社名を変えて再生を図り、今日に至るまで航空機エンジンや船舶などを開発している。旅客機が搭載するジェットエンジンにおいては世界第3位を誇り、全シェアの2割を獲得している。
1973年に国有化から脱する際、同社は自動車製造部門を「ロールス・ロイス・モータース」として分社化していて、それを重工業メーカーであるヴィッカース社に売却している。
このヴィッカース社とは、1920年代にスーパーマリン社もその傘下に入った、かつての軍需企業である。その後、ロールス・ロイス・モータース社はBMW社に売却され、自動車の製造販売を行う「ロールス・ロイス・モーター・カーズ」社へと移行している。
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