中国メーカーとのジョイントで新たな市場に活路を見出す?
体制変更を行ったGMは、ハマーブランドの廃止やサーブの売却をはじめとする改革を実施して、なんとか状況を立て直すことに成功。アメリカ政府が所有していた株も2013年には売却され、独立した企業へと回帰した。それからのGMは中国市場への注力を強めることになる。
話はさかのぼること1997年、GMは中国の自動車会社・上海汽車集団と50%ずつの出資で合弁会社の上汽通用汽車(上海GM)を設立し、中国本土でシボレーやキャデラックブランド、ビュイック車の生産・販売をスタートさせた。この上海GMは中国におけるGMの中核企業であったが、2009年のGM経営破綻の際に1%の株式を上海汽車集団に売却。後に再び50%ずつの折半出資へと戻している。
そして2002年、今度はGMと上海汽車集団、五菱集団(現在は広西汽車集団)の3メーカーによって上汽通用五菱汽車が設立された。こちらは五菱(ウーリン)、宝駿(バオジュン)ブランドで自動車の製造販売を行うメーカーであり、前出の上汽通用汽車とは異なるもの。
経済成長を続ける中国は自動車メーカーにとって魅力的な市場であり、GMがかつての隆盛を取り戻すためには重要なエリアになるのは言うまでもない。さらに深刻な大気汚染に悩む中国はEV(電気自動車)導入にも積極的で、以前ほどの勢いはないにせよ、長い歴史で培われた技術を持つGMとの協業はメリットも大きい。
EV開発はGMグループの未来に光をもたらすか?
2021年9月、上汽通用五菱汽車は自動車向け半導体の開発を行っていることを公表した。この頃にはすでに世界各国で半導体不足が深刻な問題になっており、自社製EVへの投入も視野に入れたものと推察される。
五菱&宝駿ブランドではEV車もラインナップされているが、今後はアメリカのGMでもEVの比重が高まるのは必須。もちろんEVでなくても現在のクルマに半導体は欠かせないものであり、グループ会社から調達できるのであれば大きなメリットになる。
GMは、2020年4月に日本のホンダとBEV(バッテリー式電気自動車)の供給契約を結んでいる。そして2021年にはこの関係がさらに強化されることも発表となった。両社から販売されるEVは、プラットフォームをはじめ多くの部品が共通化されることになるという。現時点でホンダはどの自動車メーカーグループにも属していない独立した存在のため、GM側としても組みやすい相手なのは間違いない。
2022年春の時点でGMが所有するブランドは、乗用車のキャデラックとシボレー、ビュイックに大型車を販売するGMCを加えた4つ。そして中国では合弁会社で五菱&宝駿に大型車の解放(ジェファン)を販売している。
以前はこれよりもずっと多くのブランドを所有し、世界トップに君臨していたGMグループ。2021年には北米での販売台数もトヨタに抜かれるという状況に甘んじているが、アメリカに並ぶ大国である中国メーカーとの提携でどのような巻き返しを見せてくれるか、注目していきたい。
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