悲哀!! 続々撤退…何が足りなかったのか…日本で撃沈された黒船輸入車たち

日本に適したサイズなのに受け入れられず 「フォードKa」

何がイケなかった? 日本で撃沈された黒船たち
日本では1999年に販売開始されたフォード Ka。フォードの本拠地アメリカではなく、欧州フォードが開発したモデルのため、イメージもヨーロッパ車に近い

 手軽に乗れて燃費にも優れるコンパクトカーの需要が大きく高まっていた1996年、フォードから新型のコンパクトカーが登場した。Ka(カー)と名付けられたそのモデルは、フォード フィエスタと共通プラットフォームを使用し、1999年に日本での販売開始となるまで世界各国で50万台以上が販売されていた。

 日本国内での販売価格は税抜き150万円と、十分に競争力のあるものだったのにもかかわらずKaの売り上げは低迷し、わずか2年で日本での販売を終了する結果となってしまった。

 リーズナブルな価格で、サイズや内容も日本向きと言えたKaの敗因のひとつとして考えられるのが、5速マニュアルモデルしか設定されていなかったこと。この当時はすでに日本国内でのオートマ車の普及率は80%を超えていて、日常使いメインのコンパクトカーでマニュアルオンリーなのは明らかに不利だった。

 マニュアルだけという状況を逆手にとって、Kaの宣伝コピーは「乗れたらエライ」だったが、その意気も虚しく、日本市場からKaの姿は消えていった……。

成功できなかった逆輸入車 「トヨタ アバロン」

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初代トヨタ アバロン。3.0リッターV6エンジンを搭載するFFセダンで、北米トヨタでは最上級モデルに位置していた。コラムシフト&ベンチシート仕様も販売

 日本国内とは仕様などの異なるモデル、あるいは日本では販売されていない国産モデルが逆輸入されるというケースもある。しかし、必ずしも逆輸入が成功するとはかぎらない。ここではそんな失敗逆輸入車を見ていくことにしよう。

 トヨタが北米で販売している大型4ドアセダンにアバロンというモデルがある。日本よりも広大な土地があり、道幅も広いアメリカでの4ドアセダン人気はまだまだ根強い。トヨタもそうしたニーズを見込んでクラウンより大きなセダンをラインナップしている。

 このアバロンは現在でも継続販売されているが、実は日本に逆輸入されていた時期もあった。

 初代アバロンの誕生は1994年。メインターゲットは北米で、ゆとりある室内を持つFFラージセダンとして登場。国情にもマッチしたアバロンは、好意的にマーケットへ迎えられた。

 そのアバロンの逆輸入がスタートしたのが翌95年。TV CMも流されるなど積極的なプロモーションが行われたが、やはり日本の道路には大きすぎるのか、販売成績が好調だったという情報はない。

 2000年にはアメリカで2代目アバロンが登場した。この2代目も日本で販売されたが、日本国内ではアバロンではなくプロナードの名称が与えられた。ただし基本構成は、右ハンドルということを除くと北米仕様のアバロンほぼそのままと言えた。

 残念ながらプロナードの販売台数も伸びることはなく、日本国内でのアバロン(プロナード)販売はこの2代目をもって終焉を迎えた。

トヨタの努力にもクルマが応えず? 「トヨタ キャバリエ」

何がイケなかった? 日本で撃沈された黒船たち
2ドアクーペ仕様のトヨタ キャバリエ。トヨタのエンブレムがノーズに輝くものの、基本的にシボレーが作ったクルマであり、トヨタっぽさはほとんどない

 アメリカのGMが所有するブランドのひとつにシボレーがある。カマロに代表されるアメリカンマッスルカーのイメージが強いシボレーだが、実際のラインナップは幅広く、そのなかでも1982年登場のキャバリエは、FFコンパクトカーという、シボレーにとって新たな挑戦となるカテゴリーだった。

 そんなキャバリエの3代目モデル(1995年)が、トヨタのバッジを付けて日本で販売されることになった。これは日米自動車貿易摩擦の緩和を図るための措置であり、日本であまり人気のないアメリカ車をトヨタの協力で売ろうというもの。

 1996年、トヨタは年間2万台の販売目標を掲げてキャバリエの販売をスタート。2.4リッターエンジン搭載のFFセダン&クーペとしては思い切った低価格に設定し、TV CMには人気タレントの所ジョージ氏を起用するなど、貿易摩擦を解消するために最大限の努力を行った。

 だが、悲しいことにキャバリエには日本人に響く魅力がほとんどなかった。トヨタが手を入れたとはいえ、同クラスの国産車に比べると各部のクオリティは低く、アメ車に特別な魅力を感じている人以外の購入欲を刺激できなかった。

 初年度から年間目標にまったく届かなかったキャバリエの販売台数を重く見たトヨタは、当初の予定を前倒ししてキャバリエの販売をストップ。この決定に疑問を挟む意見もなかった。

 輸入車の販売成績が振るわず撤退するケースは少なくないが、メーカーや販売店の期待が大きかったときにはダメージも大きい。各メーカーのグループ化が進み、クルマの“ご当地色”が薄れつつある現在でも、こうした悲劇が再び起きる可能性は残っている。

【画像ギャラリー】鳴り物入りでの日本上陸したものの「……」な輸入車たち(9枚)画像ギャラリー

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