ユニック車と呼んだらダメですか!? 日本独自に発展した積載型トラッククレーンのハナシ

■日本独自に発展した伸縮式クレーンのハナシ

 積載型トラッククレーンには、ヒアブなどに代表されるローダークレーンもあり、林業や産業廃棄物などでは多く用いられているが、シェア的には直伸式の5%程度と見られている。ローダークレーンは世界規模でみると主流なのだが、なぜ日本では直伸式が圧倒的に多いのだろうか?

  よく言われるのが、箸の文化とナイフ・フォークの文化の違いだという。欧米で主流のローダークレーンは、業種業態によってアタッチメントを使い分けて作業をするが、日本では箸だけでさまざまな料理を食するように、ワイヤーロープで吊り下げる玉掛け作業を器用にこなし、いろいろな荷物の荷役に対応しているという説である。

日本ではローダークレーンは原木やスクラップの積み込みに使われるケースが多い
日本ではローダークレーンは原木やスクラップの積み込みに使われるケースが多い

 そんな直伸式の積載型トラッククレーンの全需は、現在は1万6000台といったところ。そのうち大型トラック用が10%、中型トラック用が50%、小型トラック用が40%といった割合だ。

 最も一般的なのが平ボディの荷台をカットしてキャブ後方に架装する方式だが、前述のリア架装、あるいは小型トラックでは荷台内に架装するケースもある。

 また、平ボディ以外にもセルフローダー架装、車両運搬車架装、レッカー車架装、ダンプ架装、トラクタ架装、救助工作車架装、塵芥車架装、軌陸車架装、テールゲートリフター架装などの例もあり、意外と汎用性が高いのだ。

 さて、年間1万6000台の直伸式の積載型トラッククレーンを製造しているのがタダノと古河ユニックで、そのシェアはほぼハーフ・ハーフ。

古河ユニックのユニッククレーン「G-FORCE」
古河ユニックのユニッククレーン「G-FORCE」

 以前は他にもメーカーがあったのだが、現在は積載型トラッククレーンの製造は両者で二分している。ちなみに新明和工業のCBクレーンおよび前田製作所のカーゴクレーンはタダノのОEM、加藤製作所の積載型トラッククレーンは古河ユニックのОEMである。

 また、年輩の人なら南星クレーンやサカイクレーンを覚えておられるかもしれないが、現在は積載型トラッククレーンの取り扱いはしていない模様だ。

 ここで国産クレーンの歴史をひも解いてみると、積載型トラッククレーンに関しては、1961年、古河ユニックの前身である共栄開発が油圧式の1t吊り「UNIC100型」を発売したのが日本初のようである。同年には2t吊りの「UNIC200型」も発売している。

 対するタダノ(当時は多田野鉄工所)も翌1962年には2t吊りの「TM-2H」を発売しており、翌年には2.5t吊りカーゴクレーンTMシリーズを発売している。

 このように比較的早い段階から直伸式のクレーンが発売され普及が進んだこともあり、ローダークレーンが認知される前に、日本では直伸式が「常識」になったのかもしれない。

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