国産SUVの後席に豪華さがない要因はサイズにアリ
では、各自動車メーカーからかなりの数のSUV、クロスオーバーSUVが発売されているにもかかわらず、なぜ、日本で売られている国産SUVに、2列目キャプテンシート装着車が少なすぎるのか? その答えの一つが、ボディサイズにある。
CX-8は全長4900×全幅1840×全高1730mm、ホイールベース2930mm。室内長2690mm。RX450hLに至っては、全長5000×全幅1895×全高1725mm、ホイールベース2790mm。
室内長2630mmと、どちらも海外サイズ、というか、かなりデカい。全長も室内長たっぷりある。だから3列目席が作れる。
もし、日本の路上でも大きすぎない、2列目シートのCX-5(全長4575mm、ホイールベース2700mm、室内長1890mm)やRAV4(全長4600~4610mm、ホイールベース2690mm、室内長1890mm)のようなミッドサイズSUVの後席をキャプテンシートにしたらどうなるか? 誰もが分かるように、広さや居住感覚、乗り心地などは別世界としても、軽自動車と同じ4人乗りのクルマになってしまう。
5人乗車できないだけでなく(めったにしないだろうが)、ファミリーユースとして使う場合、後席で子供のおむつ替えができないし、愛犬家が大型犬を乗せることもできなくなってしまう。
特装車としてはともかく(ミニバンの例ではデリカD:5やアルファードにも4座、4人乗りのショーカー、特装車が存在した)、商品としてまず成立しないのである。
日本市場に土壌がない!? 快適性も求めるならミニバンを選択する傾向に
2列目キャプテンシートを備えたSUVを造るには、つまり3列シートが前提ということになり、そうなるとCX-8やRX450hLのような全長、ホイールベース、室内長が必要となり、大きく重く、そして値段の張るクルマになってしまう(CX-8は例外的にリーズナブルだが、サイズは……)。
少なくとも日本には3列シートのミニバン文化が根付き、今でもアルファードやノア&ヴォクシーを見れば分かるように、売れ行きは絶好調。
マツダのような”ミニバンから撤退”といった特別な理由がない限り、ボックス型ミニバンほどの3列目席居住スペースを取れないSUVの3列目席をつくったとしても、「だったらミニバンでいいじゃん」と、受け入れられにくいのは当然で、国内で販売する大きな理由が見当たらないことになる。
とはいえ、モーターショーなどでカスタマイズされた4座、4人乗りの内装が豪華すぎるSUV、クロスオーバーSUVを目の当たりにすれば、その場では「カッコいい!!手に入れたい!!」と思うかもしれない。
が、いざショーの世界とは違う現実に戻り、それを本当に買うのか?となれば、ほとんどの人が躊躇、却下するはずだ。
やっぱり日本人は5人乗りが好き!? 使い勝手優先の考え方が主流か!?
アルファードはもちろん、3種類用意されている2列目キャプテンシート仕様のグレードが人気だ。しかしそれは、大人でもゆったり座れる3列目席があり、最大7人乗れるからに他ならない。
かつて筆者が2代目オデッセイ・アブソルートV6を購入する際、2列目キャプテンシートとベンチシートの選択に迫られた。そこで担当セールス氏に相談したところ、(当時として)リセールを考えれば2列目席はベンチシート、色はパールホワイト一択です……とアドバイスされたことがある。
理由は、ほぼ同じお金を出すなら、1人でも多く乗れたほうがお得だし、なにかと便利そう・・・という日本人感覚(くどいようですが、あくまで当時)の勝手な思い込みにある。そんな一般日本人ユーザーに、4座、4人乗りのSUVなど売れるはずもないということだ(ミニバンやセダンだとしても)。
でも、それほど大きすぎず、高価でもない全長4800mmのSUVに、2列目席キャプテンシートで乗れる裏技!?がある。
それは、アウトドアやキャンプでも絶対王者になりうる三菱デリカD:5を手に入れることだ。それってミニバンでしょ・・・と思うかもしれない。確かに、見た目は。
が、その実態はアウトランダーベースであることからも分かるように”ミニバンの皮を被った本格SUV”であり、ダカールラリーのサポートカーとして完走した実績ある強者なのである。
いずれにしても、日本で2列目キャプテンシートのSUVを望むなら、CX-8やRX450hLクラスの大型3列シートSUVを選ぶか(あるいは輸入SUVの並行輸入車など)、発想を変えてデリカD:5にするか、である。
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