■現代空母の飛行甲板のレイアウト
最後に、CTOL機を運用する現代の大型空母の飛行甲板のレイアウトを、最新鋭の原子力空母”ジェラルド・R・フォード”を例に見てみよう(平面図のイラスト参照)。
艦の上甲板は全通式の飛行甲板で、飛行甲板の右舷後方に艦橋構造物が設置されている。艦尾から左舷前方に向ってアングルドデッキが設置され、飛行甲板前方とアングルドデッキにかかって左舷側に計4基のEMALS(電磁カタパルト)が装備されている。
EMALSは現用の蒸気カタパルトC-13シリーズとほぼ同程度の能力を持つが、機体の特性に合わせて加速度を調節できるという利点がある。
カタパルトの後部には、発艦機のジェット排気から飛行甲板上の作業員や飛行甲板に駐機する他の艦載機を保護するためのジェットブラスト・ディフレクターが設置される。艦載機の射出時には油圧により立てられる。
さらにカタパルトの横には、射出のために電圧や対気速度、大気密度などをチェックするカタパルトステーションがある。カタパルトステーションは装甲の天蓋が付けられた常設型で、カタパルトNo.1とNo.2の間(昇降式で飛行甲板に収容できる)とNo.4の脇キャットウォーク部の2カ所に設置されている。
格納庫から飛行甲板上に艦載機を運ぶのがエレベーターである。このエレベーターは重量が100トンを超える巨大なもので、右舷側の艦橋構造物前方に2基、左舷後方のアングルドデッキのわきに1基の計3基が設置されている。
艦載機に兵装を搭載する作業を行う場所は、格納庫と飛行甲板である。兵装は艦内に分散してある弾火薬庫に格納されており、そこから取り出して飛行甲板まで運び出すのが兵装昇降用エレベーターで、飛行甲板上の数カ所に設けられている。
艦載機が着艦するアングルドデッキにはアレスティングワイヤーが3本張られており、ウォータータービンと電動モーターにより制御する。さらに緊急時に備えて、ナイロンバリケードネットを展張するためのスタンチョンも設置してある。
着艦機を誘導するためのFLOLS(フレンネルレンズ着艦誘導システム)は左舷のキャットウォーク中央に、LSOの位置するプラットホームは左舷キャットウォーク後部にそれぞれ設置されている。
以上、同じ空母といいながらも、いずも型とのスケールの違いは大きいのだ。
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