クルマによって様々に変わる、速度や回転数の表示。最近は、メーターの液晶化が進み、デジタル式とアナログな針式表示を切り替えられるモデルも増えてきた。かつては高級車の証の様に使われてきたメーターのデジタル表示だが、デジタル主流になることは無く、現在も針式表示が優勢な模様。果たして、どちらのメーターが見やすく使いやすいのか、考えていこう。
文:佐々木 亘╱写真:ベストカー編集部
■高級の証だったデジタルメーター
親しみの強いクルマのメーターは、速度と回転数表示が分かれたアナログタイプの丸いデザインだと思う。針が左から上がっていき、針の動きを見ているのが楽しいものだ。
対するデジタルメーターは、速度を直接数字で伝えてくる。回転数表示も線の上を目盛りが増えていく形式で、針が使われるアナログ方式とは、表示の仕方も読み取り方も結構違うものだ。
搭載車両の数で行けば、圧倒的にアナログ式が有利。ただ、日本では1980年代後半から90年代のバブル経済期に、デジタルメーターが流行りに流行った。
初代ソアラがエレクトロニック・ディスプレイメーターを採用したのを皮切りに、トヨタ車ではクラウン・マークⅡ・カムリなどのちょっといいセダン群が、挙ってデジタルメーターを採用し始めたのだ。(一部オプション搭載もあり)
デジタルメーターは、当時多かったメーター改ざん(巻き戻し)対策にも一役買っていた。オドトリップメーターをデジタル表示にすることで、簡単にメーター巻き戻しができなくなっているのだ。
先進性や高級感の代名詞となったデジタルメーターだったが、バブル崩壊と同時期に姿を消していくことに。光が当たると見えにくい、数字だけではわかりにくいといった声もあり、速度やエンジン回転数の表示は、針式に戻っていった。
ただ、トリップメーターの表示だけは別だ。メーター巻き戻しの対策に、大きく寄与したトリップのデジタル表示は、今日にもしっかりと残っている。
■ハイブリッドの登場で復活するデジタルメーター
デジタルメーター搭載車が増える波は、もう一つあった。1990年代の終わりからスタートするハイブリッドカーの普及である。
初代プリウスに採用されたセンターメーターは、90年代のハイソカーを感じさせるデジタル表示だった。以降プリウスでは4代目までセンターメーターのデジタル表示を続けている。
また、ホンダのフィットやフリード、インサイトやシビックもデジタルメーターを採用した。
いずれのケースも、ハイブリッド=先進的というイメージを強めるため、デジタルメーターを採用したのではないだろうか。今では当たり前になっているが、当時のHEVは未来のクルマでもあった。
メーター表示がデジタルになるだけで、どこか宇宙船に乗っているような感覚を覚えるのも、HEV車にデジタルメーターが積極的に採用された一因のように思う。
■液晶化されてなんでもありに! メーター表示の今後はどうなる?
クルマのメーターは、次々と液晶化が進んでいる。これにより、実際に針を動かして情報を伝えるメーターは、どんどん少なくなっていくだろう。
ただ、丸いアナログ調の表示方法は残り続けている。特にタコメーターの表示は、デジタル式よりもアナログ式の方が、圧倒的にユーザーの支持が大きい。
最近では、液晶の中に丸いタコメーターと速度計を映し出し、さらに真ん中へデジタルの速度表示をする「全部乗せ」的なメーターも増えてきた。どちらの表示も捨てがたいということか。
針式の表示には、しっかりとメーターを読まなくとも「大体このくらい」という認識ができる良さがある。ボヤっと見た針の位置で、おおよその速度が分かるため、メーターにしっかりと目を向ける必要は無い。
一方でデジタルは、正確な値を読むのに長けている。メーターを読む必要があるため、視線のしっかりとした移動が必要になるが、数値を正確に読み取るまでの時間は、アナログ式より短いのだ。
運転中の視線移動が少ない(といわれる)センターメーターや、フロントウィンドウに走行速度が投影されるヘッドアップディスプレイ(HUD)などと相性がいい。
ここまでをまとめると、使いやすそうなのは、ドライバーの近く(メーターフード内)の表示は針式、遠く(センターメーターやHUD)ではデジタルだろう。
時計と同じように、デジタル表示と針表示には好みがあって然るべき。せっかくの液晶なら、ユーザーが選択できるように、表示のバリエーションを作っておくのもいいのではないだろうか。
あなたは、アナログとデジタルのどちらがお好きですか。
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