4WDに強い自動車メーカーと言えばどの自動車メーカーを思い浮かべるだろうか? 色々な声が上がると思うが、4WDに関して時代ごとの先進的な技術を市場に取り入れてきたのが日産なのだ。今回は日産の4WD技術の過去と現在を振り返りつつ「4WDの日産」な面を紹介していこう。
文:西川昇吾╱写真:日産自動車
■アテーサ
日産でセンセーショナルな印象を与えた4WDと言えばアテーサE-TSを思い浮かべる人が多いことだろう。グループAで連戦連勝だったR32スカイラインGT-Rに搭載されたメカニズムであるが、その前にアテーサの存在があった。アテーサは1987年に8代目ブルーバードで初採用された。
アテーサはビスカスカップリング付きのセンターデフを利用したフルタイム4WDシステムだ。センターデフに制動力制限装置であるビスカスカップリングを用いることで、路面状況の変化に対応した最適な駆動力配分を行うことを可能にした。この4WDシステムを生かし、ラリーベースグレードなども設定された。
■アテーサE-TS
そして1989年に登場したスカイラインGT-Rで搭載されたのがアテーサE-TSだ。FRを基本とし、リアがスリップした時だけフロントにもトルク配分をするということは有名な話だ。
このようなフロントへの駆動配分を行うことで、FRの優れた旋回性能、4WDが持つ安定性と高いトラクション性能を1台のクルマで実現したのだ。
ただアテーサE-TSはアテーサとは異なり、多板クラッチとトランスファーによってフロントに駆動力を与えていた。アテーサE-TSはアテーサの進化系というよりもまったく別のメカニズムというのが正しいだろう。
■e・4WD
そして先進的な4WDシステムを用いていたのはハイパフォーマンスモデルだけではない。2002年にはマーチに当時新開発の4WDシステムであるe・4WDを搭載したのだ。
e・4WDはFF車をベースに後輪をモーター駆動させることで必要な時だけ4WDとして作動させるシステムだ。
後部にはモーター・クラッチ・減速ギアからなる後輪駆動ユニットとモーター駆動用の電源を供給している専用ジェネレータがレイアウトされている。
4WD駆動が必要な時は、コントロールユニットからジェネレータに発電を指示し、その電力でモーターを駆動させ、クラッチを返して後輪にトルクをつたえるというシステムだ。
また、スイッチ操作で4WDと2WDの選択が可能で、燃費を求めた2WDのみでの走行も可能となっている。
■オールモード4×4
そしてアテーサE-TSの進化系がエクストレイルなどに採用されていたオールモード4×4だ。アテーサE-TSが持つ優れたオンロード性能にオフロード性能をプラスした4WDシステムとなる。
舵角、ヨーレイト、Gなど各種センサーからの情報を分析し、ドライバーの思い描くコーナリングラインを予想、それに合わせたきめ細かな前後トルク配分を行うというシステムだ。
■e–4ORCE
そして現在、日産の最新4WDシステムがe-4ORCEだ。モーター駆動となるe-POWERやBEVで採用されているシステムで、前後のモーターを別々に制御すると同時に、4輪のブレーキも総合的に制御している。
モーター駆動のためリニアで緻密なトルク制御をすることが可能となっていて、ブレーキ制御と組み合わせることであらゆる路面状況でも安心してドライブすることが可能だ。低μ路で確実な発進が出来るのは当然だが、姿勢を乱さずドライバーにも緊張感を与えない安定した走行ができるのが魅力だ。
このように日産の4WDシステムは時代の先端を行き、新しいものを投入してきている。今後の電動化時代にはどのような進化を見せてくれるか楽しみだ。
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