『頭文字D』名勝負列伝05 高橋涼介がランエボを倒す!! RX-7対ランエボIII編


【バトル考察】

 まずは須藤恭一について、前哨戦となった対ハチロク戦を眺めながら、高橋涼介はこう分析している。「恭一はミスをしないタイプ」「ねちっこく相手の弱点をついてくる」「えげつないぐらい合理的」「合理性だけが美学だから4WD以外に興味を示さない」。うーん、まるで殺し屋のよう。

 さらに、そんな奴が、当時リアルワールドで最強だった“ランエボ”に乗っていて、その車両は、WRCでも採用されるミスファイアリングシステムを搭載している「ターボのトルクとNAのレスポンスを両立したドッグファイト御用達マシン」(涼介談)。まったくもって、ラスボス感半端なしである。

 スタートは、ギャラリー目線で語られる。ランエボが「4WDのトラクションを活かしてロケットスタートで前に出る」と予想させておいて、「げ…え FCが前だ…!?」。その理由は、「赤城の常連でもまずめったに見られない、涼介さんのキレた突っこみ…!!」(ギャラリー)かと思いきや、ここで初登場の襟足が長いキャラには、「1コーナーの突っこみで、微妙なかけひきが働いていたことは確か」「ランサーのドライバーがあえてひいたように見えた」と語られる。

 そしてここから、京一のつぶやきが鬼のように連発されることになる。「こうして後ろについていると、涼介のやろうとしていることが見える…」「この一年でここまで来れた!!」「オレにはもうおまえがこわくないんだ!!」(一部抜粋)。一方、涼介は、ここまで心の声含め、ひと言も発していない(笑)。

 京一がひとしきり涼介への思いを吐き散らかした後、「忘れちゃいないぜ!! 一年前、お前に言われたことをな!!」と言ったところで、回想シーンに入る。

 京一いわく、「絶対的な速さを追求するのがモータースポーツ。公道の幼稚なテクニックにおとるわけがない」。

 涼介いわく、「峠には峠のテクニックがある。ジムカーナやサーキットで身につけたテクニックだけでは峠を極められない」。

 こんな感じでまったく譲り合わない二人の意見は堂々巡り。結論なんて出るはずない。その時のバトルでは京一が負けたが、一年が経った今、どちらの信念が正しいのか、再度、決着をつけようとしているというわけである。

 しかし、アツい、アツ過ぎるぜ、須藤京一。三白眼だし、このバトルが始まる前まで、超クールでコンピューターのような男だと読者に思わせていたのに、まるで腐女子目線でみたら何か別の感情があるのかと妄想させるほど、涼介に対して全力投球なアツい情熱を胸に抱え込んでいる様子。

 その思いの深さが功を奏したか、ランエボが複合コーナーでRX-7をあっけなくパス。ここでついに涼介様がご発言をなさるが、「いいクルマに仕上げたな京一」と、今日も今日とて上から目線(笑)。とはいえ、その後は、ガードレースにボディをこすりながらギリギリの走りでランエボを追走することになる。

 そして最終盤、RX-7は低いギアからのフル加速だとおいていかれてしまうため、高速コーナーを足がかりにしてチャンスをつくる。涼介様が「おまえの唯一の弱点を突く!!」と言い放ち、クラッチペダルを「タァンッ」踏み込むシーンには、女子だけでなく、多くの野郎たちがシビれたに違いない!

 インを刺すのではなく、RX-7はアウトから神がかり的なスピードでコーナーへ進入。大外から車体をかぶせることでランエボにプレッシャーをかけ、ラインの自由度をうばう。アクセルをふめなくなる京一。そして、勝負は決まった!

 このコーナーではじめて明かされる京一の弱点、それは「右サイドへの恐怖心を克服できていないこと」(涼介談)。読者の頭に「?」が浮かんだ瞬間、次のページでは、涼介様がわかりやすく言ってくれている、「ハッキリ言えば!! 右コーナーがヘタクソだってことさ!!」。チュドーンッ!

 バトル終了後、「右コーナーがヘタクソ」くんこと須藤京一が、涼介様に自分が負けた理由を尋ねると、モータースポーツでは対向車を処理する技術が必要ないから、公道を走ると対向車が通る右側に対して不安を感じること。さらに、「エンペラー」のホームコースである日光のいろは坂も、対向車がない片側通行ということを挙げた。……完璧な回答。さすが、顔もいいが、頭もいい涼介様。スタンディングオベーションである。

 余談だが、このバトルの翌日、赤城山に足を運びすらしなかった本作の主人公・拓海がようやく登場し、ヒロイン・なつきに向かって「おまえと話したくないんだよ」とキツく言い放つ。次回から恋愛パートがはじまる感がビンビンである。この修羅場における拓海の気持ちがよくわからないという人は、今回のバトル前に挿入されていた、なつきのホテルでのバトルも要チェックだ(艶っぽいぞ!)。

■【1話丸ごと掲載】(第111話)

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