交番女子の生態が判明!! 『ハコヅメ 〜交番女子の逆襲』作者登場「怖くて、やめますと言えませんでした」


■あの時の高校生に届くようにと

ベストカー 最後に、泰先生が「漫画家になろう」と思ったキッカケはなんだったんでしょうか?

秦先生 三段階ありまして、まず最初に警察官って過労で死ぬ人がすごく多いんですね。

ベストカー それは先ほどの話を聞いていてよくわかります。

秦先生 その上で、うちの県警でよく言われているのは、「いい人ほど早く死ぬ」でした。ようはいい人なので仕事をたくさん引き受けて、それで結果的に潰されてしまうというケースです。

ベストカー あー……そうですね。

秦先生 それで、わたしが育休をとった時に、すごくよくしてくださった刑事さんが亡くなったんですね。おこがましい考えかもしれないんですけど、わたしが抜けたぶんの仕事が、その人に降り掛かってしまったんじゃないか、と考えてしまうんです。わたしが子供を産んだことで、あの人を死なせてしまったのではないかと。客観的に考えると本当におこがましい話で、わたし一人がいるかいないかで変わることではないかもしれないけど、とにかく責任を感じてしまって。

ベストカー なるほど。

秦先生 そんなことを感じながら復帰した時に、広報のような仕事に就いたんですね。いい人がたくさん警察に入ってくれたらいいなと思って広報活動をしていたんですが、そこである、精悍な男子高校生に会ったんです。話を聞くと、「警察官になりたいと思っていたんだけど、親に“あんたみたいな自分のこともちゃんと出来ない人間に、警察官なんて務まるわけがない”って言われたんで諦めました」と言われたんです。

ベストカー ふむふむ。

秦先生 それを聞いて、「いやー……きみたちが思っているような人よりも、もっとずっとしょうもない人たちが、仕事に振り回されながらやってるんだよ」ということを伝えたいと思ったんです。それを広い世代に伝えたいな、ならマンガだなと思って描き始めました。ただ描いても警察としてこれを発表する許可は出ないだろうし、予算は付かないだろうなとも思いました。

ベストカー 「しょうもない人たちがやっている」という話だと難しいでしょうね。

泰先生 それで、そういえば昔、先輩が「有名な雑誌で警察官が主役のマンガが人気になれば、警察官の志望者も増えるのにな」と言っていたなと思いだして、それで新人賞に応募しました。

ベストカー 思いのほか志が高くて驚きました。社会のため、警察のためにマンガを描こうと思ったのですね。

泰先生 いやいやいや(笑)、あの時の高校生にどうやって届くかなと、そういうことしか考えていません。

ベストカー ただ警察官を辞めてマンガ家になってしまったら、「警察はよくなる」という目的を果たせても、その時に泰先生はもう警察には居ないってことですよね。

泰先生 そうなんですよね。「あ、この方法いいな」と思ったらそれを通すことに集中してしまうので、あとのことはあんまり考えませんでした。

ベストカー 考えなかった。

泰先生 新人賞に応募したら連載のお声がけをいただき、バッターボックスに立たせてもらえそうだったので、「それなら立とう、フルスイングしよう」ということで退職しました。空振りしたあとだったり、打席のあとのことはあまり……。

ベストカー え、じゃあこの交番女子の連載が終わったあとのことは?

泰先生 あ、うちの一族はパートのリーダーを多く輩出している名門家系なんです。

ベストカー え? パート、……ですか。

泰先生 はい。そういう自信が自分にもあって、どんな職種でもパートのリーダーまでにはなれるな、と思っているんです。それなら生きてはいけるだろうなと。警察を辞めたらやりたいと思っていることもたくさんあるので、それをやりながら生きていければと思っています。

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 どんな質問にも明るくハキハキとお答えいただいた泰先生。同席した担当編集者が「ネームもすごく早く仕上げてくれるんです。ブラックな書類仕事で鍛えられたおかげでしょうか」と言っておりました。

 これからも「しょうもない人たちが仕事に振り回されながらなんとかやっている」警察の仕事、『ハコヅメ 〜交番女子の逆襲』を楽しみにしております!

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