『MFゴースト』しげの秀一先生×『トップウGP』藤島康介先生対談


■天才を描くうえでのポイントは……?

編集 両先生の作品には「天才レーサー」が登場します。誰かモデルっているんでしょうか?

藤島 モデルは……いないですね。

しげの 同じですね。ぼくもないです。ただ(『MFゴースト』と『トップウGP』の両主人公は)ちょっと似ているところがあるなー、とは思います。

編集 そこが興味深いなと思いました。『トップウGP』の主人公のトップウは、(同じ二輪ライダーの『バリバリ伝説』の主人公・巨摩郡ではなく)『MFゴースト』のカナタに似ているように思えます。モデルはいない、ということですが、では天才を描くときに気をつけていることってありますか?

藤島 うーん……あまり感情を豊かに出さないようにしているかな。

編集 怒ったり、悲しんだり、喜んだりしない、ということでしょうか。

藤島 普通はそっち(感情が豊かに見えるキャラ)を主人公にしたほうがいいんでしょうが、それとはもうちょっと違う領域で戦ってほしいなと思っています。感情じゃない領域ですね。最終的には感情も顔を出すんですが、そっちよりもむしろ「すべてを把握している」というような、そこの領域で戦ってほしいなと思って描いてますね。

編集 そういう天才型のキャラって、読者としては感情移入がしづらいと思うんですが、そこは気になりませんか。

藤島 うーん、そこはたとえば「負けたくない」とか、そういう目的意識みたいなところとか、あるいは日常生活とかで回収できるかなと思っています。ただぼくがトップカテゴリーを見ていると、彼ら(トップライダーたち)が何を考えているかわからないんですね。だから(主人公も)「何を考えているか、読者にはわからないようにしよう」と思っています。

しげの その感じ、よくわかります。ぼくなんかはもっとはっきりと、天才の主人公には感情移入できないほうがいいと思っています。凡人にはわからない、っていうくらいがいいんですよ。感情移入させたければ、その天才の周りにそういうキャラクターを配置すればいいわけです。その人たちが「あいつ何考えてるかわかんねー!」って言っていれば、読者はそっちに感情移入してくれるはずですし。

編集 なるほど……。最後にひとつだけ。冒頭でしげの先生が藤島先生に「トップカテゴリーになると、スポンサーが増えて、台数も増えて描くのが大変だ」とおっしゃってましたよね。でも『バリバリ伝説』では第三部で当時のトップカテゴリーであるWGP500ccクラスを描いてらっしゃいます。しげの先生は当時、どう描いてらっしゃったんですか。

『バリバリ伝説』、『頭文字D』、そして『MFゴースト』と、バイク&クルマのバトルを描かせたら当代随一のしげの秀一先生。『MFゴースト』には『頭文字D』に登場した懐かしのキャラたちも登場する

しげの ぼくの時代ですと、描いてないんです。(あまり)描き込まなくても許された。バイクに四角いステッカーの枠線を描いて、あとはバーッと斜線を描けば許されていたんです。でも藤島先生はそういうところ、逃げてないですよね。

藤島 実は最近、(Moto GPで)どんどんカウルの形状やヘルメットのカラーリングが複雑になっていて、どうしようこれ……と思っているんです。逃げたいくらいなんですけど……そういうわけにもいかないなと。

しげの 藤島先生ならできますよ。がんばってください。応援しています。

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 憧れの両先生の対談、めちゃくちゃ面白かったです! 聞いた話を全部収録したいなと思ったら、すごく長い記事になってしまいました!(これでも1/3くらい泣く泣く切ってます)

この対談でご興味を持ちの方は、『ヤングマガジン』で連載中の『MFゴースト』、『アフタヌーン』で連載中の『トップウGP』をぜひともよろしくお願いいたします!

『MFゴースト 1巻』しげの秀一著

『トップウGP 1巻』藤島康介著

『バリバリ伝説 38巻(最終巻)』しげの秀一著

『逮捕しちゃうぞ <新装版> 1巻』藤島康介著