台湾の半導体製造大手TSMCが熊本県に進出し、地域経済を沸かせているが、そのTSMC熊本工場にも出資するトヨタが、福岡にEV向け電池工場を建設するという。ほかにもEV製造を手がける企業が続々と九州に拠点を構える。九州は日本EVのデトロイトになるのか!?
※本稿は2024年8月のものです
文:角田伸幸/写真:トヨタ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年9月26日号
■九州名物は温泉とEV!?
九州では、熊本県に半導体の巨人TSMCが進出して地域経済を沸かせているが、その波は自動車産業にも波及しそうだ。
2024年7月末、トヨタが福岡にEV向け電池工場を建設することが明らかになった。
トヨタは1990年代から同県に生産子会社「トヨタ自動車九州」を抱えており、ここで作られるレクサス(2035年にはEVブランドとなる)車に、同じ福岡県内で作る電池を積む計画だと予想する。
福岡の電池工場を運営するのは子会社のプライムアースEVエナジーだが、同社はこれまで静岡県を中心に電池を作ってきただけに、大きな方向転換といえる。
それだけではない。トヨタは冒頭で述べたTSMCの九州工場(JASM)にも出資している。ここで作る車載用ロジック半導体も、レクサス車に積むには都合がよい。さらに同工場ではソニー向けに、運転支援に欠かせない車載カメラ用イメージセンサーも作られるので、これまた地産地消が可能になる。
ほかにも九州ではルネサスが車載マイコンを生産していたり、東芝系企業がパワー半導体を手がけるなど、EV生産に欠かせない企業群が拠点を構えている。半導体に留まらず、九州は近い将来、EV生産の拠点としても注目を集めることになりそうだが、はたしてなぜなのだろう。
そもそも九州は、中国や東南アジアに近く、輸出拠点として恵まれている。優れた人材も比較的安価に雇用できるし、エネルギー面では、原発や水力発電が利用できるため、企業が求める脱炭素の流れにも合致しているといえる。
もし九州に出かける機会があれば、グルメや温泉だけでなく、EVの製造拠点を巡る旅も楽しいかも?
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