伝統ある車名すらなくなる現代。グレード名となれば、なおさらだ。だが、なくすことは惜しすぎるグレード名も当然あった。
そんなグレード名を大紹介する!
※本稿は2019年9月のものです
文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年10月26日号
【画像ギャラリー】ほかにもある! 復活希望のグレードたち!!
■GT-FOUR(トヨタ)
●WRCでの活躍を思い出す、そのグレード名は強者の証
「GT-FOUR」の名は1986年、4代目セリカに与えられたのが初。以降、セリカのトップグレードとして、WRCのホモロゲモデルとして6代目モデルまでその名の価値を高めていった。
この栄光のグレードが、新型カローラのワゴンで復活するという話がある。いいゾ!

■type M(日産)
●Mの意味はよくわからんが、カッコよければそれでいい
R32およびR33スカイラインのFR系トップグレードの名「type M」。
スポーツ走行を意識した装備を持つグレードに与えられた。現行なら、フェアレディZのトップグレードに名乗ってほしい気もするが、スカイラインファンは怒っちゃうかな?

■iR-V(トヨタ)
●すぐには意味がわからん名前こそ、オトナのたしなみ(?)
最後のマークIIとなった9代目のスポーツ系グレードの名称が「iR-V」だが、これを現行クラウンで復活させたい。現行クラウンのスポーツ系グレード名「RS」より、大人っぽいと思わない?

■キタキツネ(日産)
●ほのぼの系グレード名が、今の日本には足りない
「キタキツネ」は、オーテックにより初代セレナに設定されたモデルで、グリルガードなどを備えたアウトドア仕様だった。
現行セレナのグレード名には「ぬくもり」が感じられないので、ぜひキタキツネの復活を。エルグラには2代目ラルゴの特別仕様車名「ウミボウズ」をあげる。

■GT-APEX(トヨタ)
●ハチロクに似合うグレード名。86に似合わないワケがないでしょ
「APEX」の名自体はTE71型の頃にも存在したが、「GT-APEX」となるとやはりAE86型レビン/トレノだ。
AE92にもAE101にもあったが、やっぱり「ハチロク」だ。パワーステアリングなどが標準装備となる豪華グレード、GT-APEX。現行車に採用するなら、当然「86」だ。
ってか、なんで現行86には存在しないのか。「Limited」とかスカしてる場合じゃない。

■SiR、SiRII(ホンダ)
●名乗って損なしの名前だと思うんですけどねぇ
「SiR」の名が初めて出たのは4代目、グランドシビックの時(SiRIIは5代目)。超気持ちいい1.6LNA、VTECエンジン搭載グレードに付けられた。
現行シビックは「タイプR」ばかりが目立ちがちなので、ぜひとも普通のシビックハッチバックに付けて、スポーツイメージを強化してほしい。

■GSR(三菱)
●一番ヤル気のありそうなモデルが名乗るべし
「GSR」といえばランサーだが、現在の三菱にランサーはない。なら後継のフォルティスでと思ったが、そのフォルティスもない。
その状況下でGSRにふさわしい、一番やる気のある顔つきのモデルを探したらエクリプスクロスになった。ぜひ名乗っちゃってください。

■ユーロR(ホンダ)
●ユーロ=欧州=いいモノ。それに「R」追加で無敵
6代目アコード&姉妹車のトルネオのスポーツグレードに与えられたグレード名「ユーロR」を、デキはいいけど地味な現行インサイトにあげたい。
ただ英国工場の閉鎖で詐称になるかもしれない……。

■スポーツギア(三菱)
●あの時のRVブームの再来を願うにふさわしい
RVRでおなじみのグレード名「スペースギア」は、普通に復活してもおかしくない。デリカD:5とアウトランダーには「アクティブギア」という特別仕様車があった。
その「アクティブ」の部分を「スポーツ」に変えるだけでいいのだ。やっぱデリカD:5がイメージにピッタリだねー。

■MR(三菱)
●トップクラスの性能を持つモデルが名乗れる偉大な名前
「MR」は「Mitsubishi Racing」の略で、写真のギャランGTO以外にGTO、ランエボ8および9にも採用された。
現在の三菱には、このグレードを名乗るにふさわしいモデルは見当たらないが、そのうち登場するであろうe-エボリューションに付けるとイイ感じかも。

■K’s、Q’s(日産)
●元気だった頃の日産を取り戻すにはコレだ!
おなじみS13〜S14シルビアに採用されたグレード名で、NAが「Q’s」、ターボが「K’s」だった。
日産アンチの人には、「カス(K’s)、クズ(Q’s)」なんて言われたこともあるが、そんな過去は振り払って、今こそ現行スカイラインに採用してほしい。もちろん3Lターボ系がK’s、ハイブリッド系がQ’sだ。「400R」はなんか響きがカッコいいからそのままでOK。

■マツダスピード(マツダ)
●「上質」もいいけど「野蛮さ」も忘れずに
ブランディングにひた走るマツダに、かつての荒ぶる魂を呼び起こすべく採用してほしいグレード名がコレ、「マツダスピード」。
9代目ファミリアをベースに作られていたものは、かなり高度なチューニングが施されていた。その硬派な姿勢を現行マツダ6で見せていただきたい。2.5Lターボをベースに高出力化、できればMTも組み合わせてほしい。
けっこう魅力的だと思うんだけどなぁ。

■RSK(スバル)
●どこかポルシェっぽい響きが魅力となっとります
3代目レガシィのセダンに採用されたグレード名で「K」はドイツ語の過給機を意味する「Kompressor」の頭文字。
が、今のレガシィにターボはないので、WRX系に名乗ってもらいましょう。

■X4(ダイハツ)
●かつてのダイハツが見せた、硬派極まるモデルが見たい
4WDのモータースポーツベース車に与えられるグレード名「X4」。
ストーリアやブーンが頭に浮かびがちだが、軽のミラにもあった。だもんで、現行車ではキャストにX4グレードを作ってもらおう。

■GTti(ダイハツ)
●このグレード名なら、あのブーンもアツく走るさ
3代目シャレードに用意された「GTti」は、105ps/13.3kgmを発生する993ccのターボエンジンを搭載していた。
なので、とりあえずブーンにトールのターボエンジンを移植してGTtiを名乗らせよう。

■ハッスル
●口にするだけで元気になりそうな名前です
「ハッスル」は、グレード名ではなく3代目アルトに追加された派生モデルの名。が、このナイスな名を捨てるのは惜しいので、スペーシアに名乗ってほしい。「スペーシアハッスル」、結構よくないですか?

■type S-Zero(ホンダ)
●「Zero」という潔い響きに、日本人はとっても弱いのだ
初代NSX、1997年のマイチェン時に設定されたのが、軽量化と専用サスチューニングが行われた「type S」。で、そこからさらにエアコン、オーディオなどの快適装備を省き、サーキット走行に特化させたのが、「type S-Zero」だ。
現行車に復活させるならやっぱりNSXしかないが、昨今は夏の暑さがハンパないので、エアコンだけは残しておいていただき、ほかのところで軽量化を頑張ってほしい。

何かを捨てなければ何かを得られない。が、なかにはやっぱり捨てるには惜しいものもある。
ここで紹介したグレード名はまさにそれ。自動車メーカー各社は、隙あらば往年の名グレードを再使用するくらいの意気込みでお願いしたい。