【現役トラックドライバーが斬る!】トラックの追い越し車線で起きる問題とその深層

■トラックに“あおられない”運転方法は?

 逆に、乗用車がトラックにあおられる場合についても触れたい。

 乗用車の側にも、大型トラックから嫌がられる特有の運転があり、トラックドライバーたちは「サンデードライバー」「あおられ運転」などと呼んでいる。それがどんなものかを知っておくことで、交通の流れを乱さない、よりスムーズな運転ができるだろう。

[1] 追い越したトラックの前に入ってから速度を下げる。
[2] 追越車線や真ん中の車線をゆっくり走る。
[3] ノロノロ走っているのに、トラックが追い越しをかけると速度を上げて抜かせない。

 これらに共通するのは、速度が不安定である点だ。乗用車はトラックに比べれば重量が軽く、ちょっとしたアクセルワークで加減速してしまうので気持ちはわからなくもない。

 しかし、トラックの側からしてみれば、たんたんとした業務を妨害する迷惑な行為なのだ。もちろん、いかなる理由があってもトラックによるあおりは違法だが、トラックは高速道路ではほとんどオートクルーズを使って一定速度で走っているから、「正義は我にあり」という感覚が強い。

ACC作動時のメーターの表示(日野プロフィア)

 トラックドライバーは昔に比べれば、おとなしく善良な“会社員”になったが、日本全国では何十万人といるから、なかには悪質なドライバーもいる。自分が「あおられ運転」をしていないかどうか、再確認したほうがよい。

 そして、「速度不安定車」の存在は、連休の新東名・新富士~新清水間などで渋滞を発生させる原因にもなっている。

 トラックと乗用車のドライバー。相手の悪いところは知っていながらも、理解しようとはしない。両方を運転する立場からジャッジすれば、どちらかというと乗用車の気ままな運転の度が過ぎると思う。

 しかし、それを矯正しようとしても無理な話。トラックドライバーは一層運転技術を磨き、乗用車の挙動をうまくかわす術を身につけるべきだ。

 お互いに相手の運転の特性をよく理解し、プロがプロフェッショナルな運転に徹すれば、日本の道路シーンはもっと気持ちのよいものになるだろう。

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