登録車でも軽自動車でも、全高が1800mm級の、いわゆるスーパーハイトワゴンの人気が高い。そこでここでは、2024年夏に登場したN-BOX JOY、スペーシアギア、そしてデリカミニ、この3台のスーパーハイト軽SUVに、タントファンクロスを加えた4台の走りをチェックする!!
※本稿は2024年11月のものです
文:鈴木直也/写真:奥隅圭之、ホンダ、スズキ、三菱、ダイハツ
初出:『ベストカー』2024年12月10日号
■各社の競争が激化! だから面白い!
軽スーパーハイトワゴン市場をリードしてきたN-BOX。その牙城に挑み、2024年5月ついに首位奪還を果たしたスペーシア。そして、お化粧直しながら予想外のスマッシュヒットを飛ばしたデリカミニ。さらには、独自のミラクルオープンドアで存在感を見せるタント。
今回はタントを除く3車種から、最新モデルをピックアップして比較試乗を行ってみたのだが、工夫を凝らした追加車種設定などで、3車それぞれ「コレって確実に進化してるよね!」というドライブ体験を提供してくれた。やっぱし、競争の激しいジャンルは面白いよね。
では、印象的な部分を中心にそれを報告しよう。
まずN-BOX JOY。最近のトレンドであるSUVテイストを盛り込んだ追加モデルだが、他社より都会的なテイストでまとめているのが持ち味だ。
テーマとなるのはチェック柄のテキスタイルで、シートはもちろんラゲッジフロアまでそれを適用しているのが新鮮。ここからくる視覚効果で、全体として上品で落ち着いた印象がある。
ホンダらしいスムーズさが心地よいエンジンフィールや、全方位でバランスよく仕上げられたシャシーなど、完成度の高さは依然トップクラス。王者N-BOXらしい「コイツを選んでおけば間違いない」という信頼感が強みですね。
【画像ギャラリー】競い合い磨き合って熟成の域!! 人気&魅力急上昇中のスーパーハイト軽SUV4台(32枚)画像ギャラリー■注目度急上昇も納得の各社の工夫
スペーシアギアはSUV仕立てスーパーハイトの元祖的存在。ベースモデルに続いて新型に切り替わった。
ぼくが感心したのは「実際は軽いのにドライバーにはズシッと重厚に感じさせる」味付けだ。
スズキは軽量化に長けたメーカーで、唯一の2WDだったこともあり車重は他車より100kg前後軽い。にもかかわらず、クルマの挙動全体に重厚感があって乗り心地も落ち着いている。
もちろん、実重量は軽いから加減速性能や燃費に悪影響はなく、あくまで取り回しの“体感”なのだが、軽快より重厚を好むユーザーにはうってつけだと思う。
新デザインが大ウケのデリカミニは、走りの面では4WD仕様のタフな走行性能が大きな魅力。ドライブフィールは全体に骨太で、乗り心地もややゴツゴツ感があるが、それがデザインから走りまで一貫したこのクルマのキャラクターだ。
試乗車は新しい「シャモニーパッケージ」だったが、白を基調としたデザインは都会からスノーリゾートに向かうイメージ。オフーロドっぽい従来モデルとは異なるファン層を切り拓く狙いが上手いなぁ。
【画像ギャラリー】競い合い磨き合って熟成の域!! 人気&魅力急上昇中のスーパーハイト軽SUV4台(32枚)画像ギャラリー■スーパーハイト軽の4WD性能は?
基本的に軽自動車の4WDはビスカスカップリングを使ったオンデマンド式。これでも都市部の雪道などでは充分な走破性を見せてくれるのだが、前輪が滑って後輪との回転差が発生して初めて後輪へのトルク配分が開始されるため、発進時に前輪の滑りが大きくなる弱点がある。
デリカミニでは前後輪の最終減速比をわずかに変え、前輪がわずかに速く回ることでビスカスカップリングに予圧を与え、発進時から後輪を駆動することで、高い4WD性能を発揮している。そのこだわりがいい。
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