クルマのタイヤの種類として、多くの人が知る夏用タイヤとスタッドレスタイヤ、そして数年前からよく耳にするようになった“オールシーズンタイヤ”というものもある。名前だけ聞くと、「万能タイヤ!?」と思ってしまうが、本当にそうなのか?
文/山口卓也、写真/写真AC、Adobe Stock、アイキャッチ画像/promolink@Adobe Stock
【画像ギャラリー】[オールシーズンタイヤのメリット、デメリットとは?(7枚)画像ギャラリー■オールシーズンタイヤってどんなタイヤ?
オールシーズンタイヤとは、晴天や降雨時には夏用タイヤ(ノーマルタイヤ)に近いグリップ力を発揮し、雪道では夏用タイヤより強いグリップ力を発揮するタイヤのこと。
低温下でも柔軟性を保つために特殊素材のゴムを使い、降雨時の排水性を高めるトレッドパターンを採用するなど、晴天のドライ路面からウェット路面、降雪路までも対応できるような工夫が施されているのが特長。
【画像ギャラリー】[オールシーズンタイヤのメリット、デメリットとは?(7枚)画像ギャラリー■“M+S”マーク付きのオールテレーンタイヤとの違いは?
オフローダーやSUVの履くタイヤには「オールテレーン(A/T)」と呼ばれるものがある。この“オールテレーン”は全地形型タイヤを意味し、なかには“M+S(マッドアンドスノー)”とサイドウォール(タイヤ側面)に表記されているものもある。
販売店のなかには、この“M+S”マークがサイドウォールに刻印されたオールテレーンタイヤも「オールシーズンタイヤ」と呼ぶ場合がある。
“M+S”マークは泥濘地や雪道でも走行可能であることを指しているが、ここでの“雪道”とは路面に軽く降った程度の浅い雪の意味。泥や雪が詰まりにくいトレッドパターンと、低温下でも硬くなりにくいゴム質であることが特徴。
しかし、路面にある程度積もったような雪道までには対応していない。そもそもこのM+S(マッドアンドスノー)規格には明確な基準がなく、メーカーの「ほんの少しの雪であれば行ける」といった感じ……と考えておくほうがいいだろう。
よって、このM+S(マッドアンドスノー)タイヤで高速道路走行中に冬用タイヤ規制がかかると、通行不可と判断されてしまうので要注意!
【画像ギャラリー】[オールシーズンタイヤのメリット、デメリットとは?(7枚)画像ギャラリー■高速道路の“冬用タイヤ規制”でも使えるものは?
サイドウォールに“M+S”と刻印されたもののなかには、山岳地を模した“スノーフレークマーク”も刻印されたものがある。
正式名称をスリーピーク・マウンテン・スノーフレークマークといい、このマークがついているものはアメリカのASTM(American Society for Testing and Materials)が行う試験により、より厳しい寒冷地でも性能を発揮できる冬用タイヤとして認証されたことを意味する。
このスノーフレークマークがついていれば、高速道路の“冬用タイヤ規制”が出ているなかでも走行可能。
そのため、毎年ある程度の積雪が予想される地域で、1年を通してオールシーズンタイヤを使いたいという場合はこのスノーフレークマークがついているタイヤを選ぶのがお薦めだ。
ただし、スノーフレークマークつきのオールシーズンタイヤであっても、アイスバーンなど凍結路での走行性能はスタッドレスタイヤに劣り、さらに雪が深くなった場合の“全車両チェーン装着規制”のもとではこのオールシーズンタイヤはもちろん、スタッドレスタイヤであってもチェーン装着が必須となる。
チェーンを装着していない場合は規制区間の走行が禁止され、これに違反して走行すると3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金となる。
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