■エスクードとの勝負を分けたのは「山っぽさ」だった!?
スズキ エスクードはその後もフルモデルチェンジを重ねられ、現在は4代目が販売されています。
しかし「ある意味似たような車」とも言える初代ダイハツ ロッキーはなぜ、1代限りで終わってしまったのでしょうか?
ちなみに今年11月に発売された新型ロッキーは、2代目ロッキーというよりもどちらかと言えば「ロッキーという車名が付けられた、まったく別のシリーズ」です。
初代ロッキーが廃番となった理由は、「いい車なのだが、いろいろな部分が少しずつ残念だった」というフレーズに集約できます。
同じように「街乗りも悪路も両方OKなコンパクトクロカン」だった初代ロッキーと初代スズキ エスクードでした。
しかし初代エスクードには最初からATが用意されていたのに対し、初代ロッキーは最初の2年間、硬派な5MTのみでした。
「悪路もガンガン走りたい」と考えるマニアックなユーザーはそれでも構わなかったでしょうが、「主には都市部で気軽に乗りたい」と考えるユーザーには「MTしかない」というのはけっこう高いハードルだったはずです。
そして前述のとおり初代ロッキーは1992年3月の一部変更で4速AT仕様を追加するのですが、このときなぜか街乗りに適しているフルタイム4WDのほうを廃番にして、悪路走行に向いているパートタイム4WDを残しました。
もちろんいろいろな考えがあってのことでしょうが、正直ちょっとよくわからない行動です。
またデザインも「初代ロッキーも初代エスクードもおおむね似たニュアンスである」とは思うのですが、今改めてまじまじと見てみますと、エスクードのほうに「都会っぽさ」を感じ、ロッキーからは「山っぽさ」を感じます。
このあたりのちょっとした加減も、悪路走行を趣味とする人の数がどんどん減っていった1990年代においては、商売の成否を分ける微妙な、しかし大きなポイントだったのでしょう。
しかし、ビジネス面では成功したと言い難い初代ロッキーは、マジメに作られたナイスな小型クロカンではありました。「好きな人はハマるタイプの車」ではあったのです。
そうであるがゆえに「ロッキー」という車名にネガティブなイメージは特にありません。そのため、今年11月に新発売となった小型クロスオーバーSUVに、ダイハツは躊躇なく「ロッキー」という車名を付けることができたのでしょう。
■ダイハツ ロッキー 主要諸元
・全長×全幅×全高:3705mm×1580mm×1725mm
・ホイールベース:2175mm
・車重:1270kg
・エンジン:直列4気筒SOHC、1589cc
・最高出力:105ps/6000rpm
・最大トルク:14.3kgm/3500rpm
・燃費:10.0km/L(10・15モード)
・価格:179万8000円(1990年式SXフルタイム4WD)
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