イギリス車の盛衰 クーペ回顧 タルガトップ、ランチアへの憧れ【復刻・徳大寺有恒「俺と疾れ!!」】

■ボルボ車について

(20年前に買ったボルボ240エステートに今も乗るという読者の方からの、親会社がフォードから中国の吉利汽車に変わったボルボ車についてどうお考えですか? と聞かれて)

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ボルボP1800…1961年誕生。スウェーデンのパトカーとして採用されるやスピード違反が減ったという逸話が残る。2×2のクーペボディとワゴンボディ(ES)の2タイプ。マニアからは最も美しいボルボと呼ばれる
ボルボP1800…1961年誕生。スウェーデンのパトカーとして採用されるやスピード違反が減ったという逸話が残る。2×2のクーペボディとワゴンボディ(ES)の2タイプ。マニアからは最も美しいボルボと呼ばれる

 ボルボの1800ESはワゴンボディのかっこいいクルマでした。最初はP1800として発表されました。アマゾンのシャシーに見違えるような流麗なボディを架装していました。

 走りのほうは力強いのですが、ステアリングが軽すぎて私は参りました。

 P1800を思い出すと、日本車にも1.5〜1.8Lの4シリンダーエンジンでちょっとしゃれたクーペがほしいですね。それも大人が乗れるモデルとして期待したいものです。

 最近のボルボ車の印象ですが、例えばV40はスタイリッシュでターボエンジンもレスポンスよく走ります。デザインもドイツ車にはない、エレガントなところがあります。

 それでもボルボの一番の魅力は、P1800の頃から連綿と続く高い安全性にあり、歩行者エアバッグに代表される、先進性の高い装備を次々に採用していく姿勢にあると思います。

■大人が乗るクーペ

(初代から3代目まで約14年間乗り続けたというソアラの大ファンの読者の方からの、日本には「大人のクーペ」がない、年寄りが乗れる落ち着いたクーペモデルが欲しい、という声に)

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C31ローレル…スカイラインの桜井眞一郎が開発主管を務め、1980年誕生。ローレル初のターボエンジンを採用したことでも知られる。意外なところではコラムシフト仕様に今では当たり前の足踏み式パーキングブレーキを世界で最初に採用している
C31ローレル…スカイラインの桜井眞一郎が開発主管を務め、1980年誕生。ローレル初のターボエンジンを採用したことでも知られる。意外なところではコラムシフト仕様に今では当たり前の足踏み式パーキングブレーキを世界で最初に採用している

 ソアラはいかにもトヨタらしい“GT”でしたね。直6、2.8L DOHCユニットはメルセデスベンツの280SL〜450SLに近いコンセプトでした。

 当時私はソアラにも感心しましたが、ライバルの日産が出した、ローレルにも感心しました。当時のローレルはC31ですが、4ドアハードトップでトップモデルは同じく直6、2.8Lを採用しており、エンジンの吹け上がりやトルク感は大排気量ならではのものでした。

 1980年代はソアラのパーソナルクーペに対してローレルの4ドアハードトップ、ボディの形が増えていった時代でした。そう振り返ると面白い時代でしたね。1990年代後半になるとクルマはバリエーションが減り、つまらなくなります。

 バブルと呼ばれる時代ですが個性的なクルマがたくさん登場した懐かしくもいい時代でしたね。

■タルガトップが欲しい

(ポルシェ911のタルガトップに憧れながら、Z32フェアレディのTバールーフに乗っていたことがあるという読者の方からの、タルガトップやTバールーフは最近はあまりラインアップされないようだ、徳大寺さんはタルガトップのモデルについてどう思われますか? という質問に答えて)

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 ディバリエーションはお金もかかるし、市場をどこにしたらいいのでしょうか? たとえばメルセデスのSLやSLKというクルマはヨーロッパにそれが売れるマーケットがあるからでしょう。実用主義の日本車は“遊び”のクルマがないですね。欧州のようにマーケットの成熟というのでしょうか。遊びのモデルに何百万円も投入する余裕がないのでしょう。

 確かに今後のフェアレディZには期待できますが、もっと小さなクルマでもその個性を感じさせてくれるクルマがほしいですね。日本のクルマの安さ(クルマによらずですけど)は認めるにせよ、少数でも価値あるモデルが重要視されてしかるべきでしょう。安く大量にではなく、ほどほどの数でほどほどの価格のパーソナルオープンがほしいですね。

 東京モーターショーに出展されるビート後継モデルはタルガトップを採用するということなので、期待したいですね。

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